2017-04

インタビュー #4  「 BEYOND」(後編)



昨年4月に創刊されたLGBTが主題のフリーマガジン『BEYOND』の編集長であり、特定非営利活動法人東京レインボープライドの共同代表理事でもある山縣真矢(やまがたしんや)さんのインタビュー、後編です!開催目前のビッグイベント「東京レインボープライド2017」についてもお聞きしています。



野村:すごく内容が特化しているからというのもあると思うんですけど、LGBTのことを扱っているとなると、やっぱり誰かにインタビューした際に、誌面に名前を表記をするときに、例えば「バイセクシュアル」とか「ゲイ」ということを一緒に表記する場合が多いですが、それは、BEYONDではどういう意図で表記をしていますか?

山縣:BEYONDだと巻頭のところだと思うんですけど、取材をさせていただいたこの方たちが自分のセクシュアリティをどのような言葉で表現するのかって言うのは、そこにその人なりの思いとかアイデンティティとかがあったりする部分なので、同じことを書いてあってもその表記があるかないかで見え方が変わってくるんですよね。女性に見える人でも、その人が表明しているのがレズビアンなのかトランスジェンダーなのか他の何かなのかによって、やっぱり受け取られ方も発信の仕方も違ってくると思うんです。そういう意味もあって載せるようにはしていて、基本的には本人から言われたものをそのまま載せています。同じように年齢も、言いたくないという場合は載せていないですけど、読み手側の一つの情報として、時代背景や考え方の目安にもなるので、入れています。

野村:自分はこういう人だよという、自分のアイデンティティの所在を明らかにしておいて、その人の記事があって、というほうがより記事の理解度も深まる…ということですね。

山縣:はい。そうですし、そこをオープンにしていくというか、可視化していくというところは、重要なところだと思うんです。私はレズビアンです、私はゲイです、私はトランスジェンダーです、ということをちゃんと表明する人が増えて、それが受け入れられる世の中になればいい。BEYONDに出てくる人はそういうことを表明して活動している人が多いんです。基本的にこの巻頭部分は、LGBTブームというキラキラしたところだけでなく、色んなところで色んな活動をしている人たちに光を当てよう、みたいなコンセプトがあるので、そういう人たちをこちらもセレクションして、取材をお願いして…という感じなんです。

野村:なるほど。本当の意味での輝きとか美しさというところですね。ちょっと媒体の話とは逸れますが、こういうインタビューとかではなく、例えばLGBTのコミュニティって一言で言ってもやっぱりその中にいろんなアイデンティティの人がいると思うんですけど、そのコミュニティで集まったときに、この人はこういうアイデンティティの人で、みたいなことを前提として相手の話を聞いたりコミュニケーションが始まる、というわけではないですよね。

山縣:そうですね。個人的に僕はゲイバーに行ったりとか二丁目に行ったりとか、付き合いのある人ってやっぱりゲイの人が多いんですけど、パレードのスタッフとなると本当にいろんなセクシュアリティの人がいて、コアに関わっている執行部や運営の人はだいたいその人のセクシュアリティとかも含めて知ってはいるけど、ボランティアスタッフの方とかは本当にもうたくさんいて、年代もセクシュアリティもいろんな人がいるので。お互いに聞く事もあるだろうし聞かないこともあるだろうし、その辺はいろいろで、それも含めてコミュニケーションしてもらえればいいのかな、とは思うんですけどね。
ちょうどこの前、ボランティアスタッフの全体ミーティングをやったんですけど、高校生も多くて、30~40人高校生がいたりするんですけど、まあいきなり初対面で「あなたのセクシュアリティは?」というのはあれかもしれないけど、こう話をしていく中で「どうしてTRPのボランティアやろうと思ったの?」ってお互いに話が始まったりしたら、その中でそういう話もできてきたりするとは思うけど。

野村:高校生たちはどこでTRPのことを知ったり興味を持ったりして参加しているんですか?

山縣:学校単位で参加していたりとか、先生の繋がりとかですかね。

野村:ということは、LGBTというテーマに対して積極的というか、学ばせたいという姿勢の学校が多くなってきているということですか?

山縣:そういう学校も出てきた、ということですね。ちゃんと学校の承認も得てきているし、本当にたまにですが単独で来る、という高校生もいます。高校生以下の方は基本的には保護者の同意がないとTRPのボランティアにはなれないので、一応そういうものをきちっとクリアした人が参加してくれています。

野村:なるほど。高校生、まあ若いなーと思うけど、若すぎるってことも全然ないですよね。

山縣:はい。全くないと思います。



野村:BEYONDは現在どういうところに置いてますか?

山縣:新宿二丁目のakta(アクタ)というコミュニティセンターやいくつかのお店で置いていますね。スポンサーでもある「丸井」の渋谷店や新宿店など主要店舗にも置いてもらっています。丸井さんはすごく協力してくださっていて、パレードの当日はパレードコースである渋谷MODIの大型ビジョンをレインボーにしてくれたりもして。あとはぜひ5月6日、7日のTRPの会場に足を運んでもらえれば。当日、フェスタの会場やレインボーウィーク期間中の色んなイベント会場でもBEYOND最新号を置いていますし、6日、7日の会場にはバックナンバーも持っていきます。華やかで楽しくて、元気をもらえるような空間だし、「いやほんと色んな人がいるよね」というのが分かるイベントなので、そういうものを感じてもらえたら良いかなと思っています。もちろんしっかり頭で考えたり社会運動的な部分も重要なんですけど、まずは会場に来て楽しんでもらったり感じて考えてもらえればと。

野村:はい。期間中、山縣さんは毎日どちらかにいらっしゃるんですよね?

山縣:そうですね。フェスタ&パレード以外でも、東京レインボープライドの主催でいくつかイベントがあって、例えば、僕が企画してるのが5月4日の「性をめぐるアーカイブの世界~過去を未来へ伝える~」というトークショーで、これはけっこうマニアックなんですけど…。最近LGBTに関するものに限らずですが、デジタル化も含めアーカイブというのは言われるようになっていて、例えばアメリカだと、LGBTコミュニティセンターという立派なものがあって、その中にライブラリがあったりして、昔の資料やアーカイブがちゃんと保存されていたりするんですよね。今回登壇される方はみなさん、そういう「性をめぐる」色んな資料などを個人的に収集していらっしゃるのですが、では、LGBTコミュニティ全体として、これまでいろんな人がコレクションしてきたものとか、これからまた生み出されていくであろういろんな資料だったり紙媒体などを、どうやって歴史のひとつとして残していくか、ということを考えてみましょう、という趣旨です。

野村:おもしろそうです!



野村:LGBTの活動を続けて、いろいろ難しいところもあるとは思いますが、最終的にはどうなっていけば良いと思いますか?山縣さん個人としてのゴールみたいなものはありますか?

山縣:ああー。よくこういう質問を受けたときに「パレードが無くなることがゴールです」みたいな言い方をする人もいるんですけど、僕はあんまりそうは思っていなくて、ゴールは無いと思っているんです。SOGI(性的指向/性自認)や婚姻の平等といったことって、それこそ政権が変われば、制度が変わったりとかもあるわけですよね。時々の社会情勢とかでも変わったりします。
オランダは2001年に初めて同性婚という制度ができた国で、同性婚もそうだしそれ以外の人権のことについてもすごく進んでいる国で、いじめにしろ何にしろマイノリティ性を抱えてる人に対するフォローアップもしっかりしているんですけど、そういう国でもセクシュアルマイノリティの小学生や中学生がいじめられたりするんですよ。そういうドキュメンタリー映像を観たことがあって。日本からみるとかなり制度的にも進んでいるような国であってもです。性的なことというのは子どもとか思春期では特に、いじめとかに繋がりやすい。だから、オランダではそういうことが起こったときにちゃんと対応できる大人がいたり、どこに相談に行けばいいっていうような、機関や仕組みがあるんです。
まあ要は、性のことってマイノリティ以外でも悩むじゃないですか。「性」ってやっぱり生きることの根源にも繋がってくるので、例えばそういう色んな隔たりや差別のようなものがなくなっていっても、年に一回のこのパレードは、どんなセクシュアリティであれ、ストレートであろうがゲイであろうがレズビアンであろうが、色んな人が自分の生きることや性のことについて、こう、みんなでお祝いするような場として、ずっとあり続けていっていいんじゃないかなと僕は思っているんです。その中でセクシュアリティによる差別とか、そういうものがどんどんなくなっていったらいいですよね。
で、LGBTの運動的に言うと…。やっぱり具体的に法律ができたりとかですかね。ゲイブームと言われた90年代前半のころは、もっとふわっとしていた部分もあったと思うんですけど、今は条例や法律、差別解消法とか同性婚とか、具体的なものが課題として上がってきています。それは少し歴史が前に進んだってことなんじゃないかなと思っています。けれども、そこを越えていくのはまた大変で…。今の日本の社会状況とか政治状況だと結構難しいところもあるとは思うんですけど、そういう具体的な課題に向かって行く運動のひとつとして、東京レインボープライドも貢献できればいいなと考えています。とはいえ、LGBTブームと言われている昨今でも、まだまだLGBTに関して、きちんと知られていなかったり、そもそも知らない、という人も本当にまだたくさんいるのも現実だったりもするわけです。
そもそも「SOGI(性的指向/性自認)」というのは、あらゆる人に関わる属性です。なので、SOGIに関してマジョリティな人たちにも、自身の「生」にとって重要な「性」について考えるキーワードとしてSOGIを捉えてもらい、そこを出発点に、SOGIに関してマイノリティ性を抱える人たちに想いを馳せてほしいかな、と思っています。多様な「性」に寛容な社会は、豊かなんじゃないでしょうか、カルチャーとかの面にとっても。

野村:それこそが、ちゃんとした大人が増えていくってことですよね。

山縣:そうですよね。ぜひ5月6,7日TRP会場に来ていただければと思います。


聞けば聞くほど他人事ではないセクシュアルマイノリティのこと。お互いの性や生を尊重し合うというのは自分の性(=生)を大事にすることから始まるのだなあ。子どもが安心して育っていける環境というのは、ちゃんとした大人がいる社会なのだとつくづく思ったのでした。これほんと、誰も無関係でない大事な話。今年のGWはお互いの性を祝福しに渋谷へ行こう…!

『東京レインボープライド2017』、レインボーウィークは4/29~5/7に開催。都内を中心にあちこちの会場でイベントが開催されます。メインイベントでもあるパレード&フェスタは5/6,5/7に代々木公園です。今年のSpecial Liveは中島美嘉さん…!
TRPのサイトで詳細を確認してぜひ会場を訪れてみてください。

<パレード&フェスタ>
開催日
フェスタ:2017年5月6日(土)、7日(日)10時~18時
パレード:2017年5月7日(日)※正確な時間は後ほどお知らせします。
会場
東京都代々木公園イベント広場&野外ステージ
 ⇒ 各コンテンツの詳細情報はこちら

<レインボーウィーク>
開催日
2017年4月29日(土・祝)~ 5月7日(日)
会場
東京都内を中心に全国各所
 ⇒ 各イベントの詳細情報はこちら



text・interview 野村(ONLY FREE PAPER)
photo 野村・松江(ONLY FREE PAPER)


2017-04-27 | Posted in OFP STAFF, インタビューNo Comments » 

 

インタビュー #4  「 BEYOND」(前編)



河原に佇みカメラに対峙する4人の男女。彼らの手にはプラカードとメガホン。
あれ?なんだろう、どこの国だろう、と思わず目を留め手に取ったのが『BEYOND』の創刊号。その写真からは、国籍も性別も4人の関係性も、さらには屋外なのに季節感も判別しにくい、つかみ所のないような、それでいて目が離せないような、何とも印象的な表紙。
このフリーマガジン『BEYOND』編集長であり、特定非営利活動法人東京レインボープライド共同代表理事でもある山縣真矢(やまがたしんや)さんにお話をお聞きしました。

『BEYOND』

「らしく、たのしく、ほこらしく」をモットーに、性的指向および性自認(SOGI=Sexual Orientation, Gender Identity)のいかんにかかわらず、すべての人が、より自分らしく誇りをもって、前向きに楽しく生きていくことができる社会の実現を目指し活動する特定非営利活動法人東京レインボープライドの機関誌として、2016年4月に創刊。
春と秋、年2回のペースで発行され、現在の最新号は先日発行された第3号。
http://tokyorainbowpride.com





野村:BEYONDはNPO法人の機関誌ということなのですが、まずは団体の成り立ちや活動についてお話を伺えますか?

山縣:はい。東京レインボープライドという団体は2011年の5月に設立されまして、現在僕と杉山文野が共同代表理事を務めています。

野村:毎年春に代々木公園周辺で開催されているレインボーパレードを主催しているということですが、そもそものパレードのいちばんの趣旨というのは、セクシュアルマイノリティの認知を広める、という理解で合っていますか?

山縣:まあそうですね。LGBTとかセクシュアルマイノリティの可視化とか、差別や偏見に対して訴えていくとか…。というものがコアにあって、それにフェスティバルというか、祝祭的なものが加わっていく。国によっていろんなやり方があったりとか、打ち出し方は違いますけど、広く一般的に、プライドパレードというのはそういうものですね。
そもそもの発端というのはアメリカのNYで、1969年6月28日にグリニッジビレッジにあるストーンウォールインというゲイバーで起こった事件(※1)の1周年のデモ行進が、現在世界各地で行われているプライドパレードのスタートといわれています。そこから違う都市にも展開していって、日本での最初のパレードは1994年に開催されています。

野村:日本でパレードが始まるきっかけというのは何かあったのですか?一時期LGBTブームというのがあった、というのは以前何かで読んだのですが…。

山縣:ええと、当時はLGBTと言わなかったんですけど、’91年、’92年あたりにゲイブームっていうのがあったんですね。雑誌で取り上げられたりテレビで取り上げられたりとか。伏見憲明さん(※2)が「プライベート・ゲイ・ライフ」(1991年刊行)というのを出したり、映画の「プリシラ」(1995年日本公開)や「二十歳の微熱」(1993年公開)もその頃で…。そんなゲイブームの前には、「府中青年の家事件」(1990年2月)(※3)という事件も起こりました。同性愛者の団体が東京都を相手取って裁判になるんですけど、そういうのもあったりして、90年代の前半頃にちょっとしたブームがあったんです。

野村:それは主にそのライフスタイルとか、ゲイのコミュニティで起こっていることに注目が集まってたということだけでなく、根本的な人権の問題ということに着目する人も増えてきたという時期だった?

山縣:まあ…裁判もあったし、そういうのを取り上げた本だとか、ドキュメンタリー番組というのも当時はやられたりもしていたけれど。とにかくアンダーグラウンドでなくメジャーなメディアが取り上げ始めたということで注目され始めた時期で、’94年にパレードをやろうという流れもできたと思うんですよね。いちおうこれはアジアで2番目の開催と言われています。
僕は2000年のパレードに、当時は「レズビアン&ゲイパレード」と言っていたんですけど、そこでフロート出展者をサポートするかたちで初めて参加しています。で、2002年から実行委員というかたちで運営に携わるようになりました。もう15年ですか…。

野村:15年…!毎年パレードを開催しているのですか?

山縣:それがなかなか、毎年とはいかなかったんですよ。東京のパレードというのは、’94年から始まり、主催団体やパレードの名前も変わったりしながら、開催が続いたり、何年か開催がなかったり、パレードのないフェスティバルという形での開催になったり、という感じできて…。で、2011年5月に東京レインボープライドという団体を設立し、翌年の2012年4月に第一回目の「東京レインボープライド」を実施して、そこからはもう毎年やっています。



野村:2015年にNPO法人化して、いよいよ翌年に機関誌である『BEYOND』の創刊ですね。こちらを創刊した経緯についてお聞かせください。

山縣:もともと2012年の第一回目の東京レインボープライドの時から、「TRPオフィシャルガイド」というタブロイド判の媒体で、具体的にプライドウィークとかフェスタやパレードなどのいわゆるガイドとして毎年作っているものがありました。広告を入れて作っているのですが、だんだん大企業なども入るようになって誌面の棲み分けが必要になってきたというのもあって、法人化を機に棲み分けをしたこちらのBEYONDは、もう少しかっちりしたもので、団体の機関誌として作ろうということになりました。創刊号を2016年の4月に刊行しているんですけど、2015年の年末くらいから相談し始め…、それこそ雑誌のタイトルからですね。昨年の東京レインボープライド2016のテーマが“Beyond the rainbow”というテーマだったんですけど、その“Beyond”というのを機関誌のタイトルにしましょうということになった。



野村:性に限らずマイノリティのコミュニティというのは、情報を探すとしたらやはりまずはインターネットだったり、広めるほうとしてもインターネットのほうが“広く早く”ということで力は大きいかなと思うのですが、あえて機関誌という紙でつくる、紙で渡す、ということにこだわりはありますか?

山縣:もちろん、こだわりはありますね。編集もそうだしデザイナーにしてもアートディレクターにしても、その辺に対するデザインの力とか紙の力とか、webとは違うもの、というのはやっぱり意識しているし、こだわりは持って作っています。
あとはやっぱり、タブロイドのガイドのほうは、イベントが終わったらその役目を果たすんですけれど、BEYONDは機関誌で息の長いペーパーだと思っていて、特集だったら現時点でのその状況とか、そのときのトピックの人だったりとか、そういうものを入れているので、次の号が出たとしても、バックナンバーとして欲しい人はいるだろうと。webだとやはりどんどん回転していって消費されていく、みたいなところがありますけど、紙はこうやって手に持ってめくったり、ときどき引っ張り出してみたりとか、やっぱりそういうものだと思うので、何か引っかかりを持って読んでくれた人や手に取ってくれた人に、ずっと手元に置いておいてもらえるようなものであればいいな、と思います。

野村:そうですよね。BEYONDは紙で存在感があって、思わず目を留めて手に取ったり人に渡したりしたくなる、というのはすごくあると思います。

山縣:人から人へ渡っていくという意味では作り手の思いが伝わる部分も大きいと思うし…。実際、紙は大変ですけどね(笑)



野村:毎号巻頭に登場するスーパーシャイニーの候補はいろんな方がいると思いますが、取材対象や扱うテーマはどのように決めていますか?

山縣:取材対象は、何となくその号のテーマや特集の内容で決めていますかね…。僕の繋がりだったり、毎回スタッフに提案してもらったりもしていますし、結果的になんとなくまとまることもありますね。例えば、この新しい号だと、「LGBTと行政」という特集を組んでいるんですけど。2015年に渋谷区などで同性パートナー制度ができて、11月から世田谷区と渋谷区で同時に登録が始まってちょうど一年ちょっと経ったところで、それ以降にもいくつかの自治体がそれに続いていたり、この6月から札幌も制度を導入するんですけど、今のLGBTブームみたいなもののきっかけとして、同性パートナー制度はやはり大きいんですよね。ただ、同性パートナー制度って、要は“パートナー”の話なので、みんながみんなパートナーを持ってるわけではないし…。

野村:確かに、それはそうですね。

山縣:そうなんです。セクシャリティも様々ですし、実際、パートナー制度のことだけでなくて、自治体レベルでももっと条例とか計画とか、いろんなもので性的指向とか性自認などに関することってやられていたりするんですね。そういうものも知ってフォローしましょうということで、まず、自治体の同性パートナーシップ制度について解説した後、それ以外の自治体の動きや制度などを紹介しています。で、そのうえで、地方自治体だけでなく、もっと大きい国レベルでの法整備みたいなものがやはり必要だよねということで、国レベルの法整備の現状を、G7諸国との比較などもしながら、解説しています。作り終えてから何となくまあ一冊で通底するものはあるな、と思ったりもしています。



野村:この国別での比較は状況がすごく分かりやすいです。

山縣:この表を見るともう一目瞭然なんですけど、人権にしても同性カップルのことにしてもG7の中で日本だけ突出して法整備が遅れているんですよね。まあ、ここにロシアが入ってくるとロシアはもっとひどかったりするんですけど…。

野村:日本が遅れてるというのは、なぜだと思いますか?特に欧米とかと比べると。

山縣:人権については、まず根本的に考え方が違うなと思うんですよね。LGBTのことだけでなく、日本は人権とか差別に関する包括的な法律が無いんです。部落差別や障がい者差別など、個別のものに対する法律はいくつかあるんですけど。一方、例えば、イギリスでは、「2010年平等法」で、あらゆる分野における性的指向や性自認を理由とした差別の禁止が規定されています。あと、この表の「国内人権機関」というところを見ると、日本には「国内人権機関そのものがない」と書いてありますけど、他のG7諸国には国内人権機関がまずある。人権を擁護するために勧告などを行う機関があるというのが前提で、その国内人権機関の管轄に性的指向があるかないか、というレベルの話をしているわけですけど、日本はそもそもそういう機関そのものがない、みたいなところで…。もう二段階くらい差別ということに関しては遅れていると思います。というのと、同性パートナーに関して言うと、いわゆる「伝統的家族観」とか儒教的な家族観とか、あとは戸籍制度ですね。「家」を中心とした戸籍制度があるというのは同性パートナー制度とか同性婚を実現させていくにはすごく大きな障害になるんだろうな、というのがやっぱり他の国とは違うところだと思います。夫婦別姓もできない国ですから。その一方で、日本は宗教的な縛りは少ない…というところもまたあるとは思うんですけど。

野村:確かに、宗教で縛られるというのは日本ではあまり感じないですね。

山縣:例えばBEYONDの第一号でも記事にしていますが、韓国は保守的なキリスト教の団体とかがすごく反対勢力としてあって、露骨な嫌がらせや妨害とか、結構すごいのがあるんです。パレードやっててもガンガンそういうヘイトが飛んで来るような。

野村:日本では宗教的なものはあまりないとして、例えば政治的なところからの圧力とか嫌がらせとかはあったりするんですか?

山縣:そんなに露骨には…、でもまあ、だんだん増えてきているとは思います。LGBTの権利とか婚姻の平等といった課題が表面化するようになって、それを快く思わない人たちの声も出てくるようになったということだと思います。

野村:知る人が増えた、ということでもありますよね。

山縣:うん〜そうそう。割とどこの国でも同性婚制度とかできるときって、例えば議会を通る時でも結構僅差で通ってたりするんですよね。どこの国もやっぱりすごく国を二分するというか…。フランスなんかは同性婚制度ができるとき、賛成する側で何十万人というデモがあったら、反対する側も何十万人というデモがあったりとか、最新号で取り上げた台湾でも、同性婚の法制化に賛成する集会には25万人もの人が集まっているんですよ。で、一方でそこまでは多くなかったけど、同性婚に反対する人たちの集会も10万人くらい集まっていたりするんです。一般的には賛成する人が多いし、だからこそ制度が成り立っていると思うんですけど。

野村:日本もそういうのを越えていかないと…、というのはあるんですね。そういう意味では、例えば、LGBTへのヘイトの声が聞こえてきているということは、日本も今、動き始めている、ということなんですかね。

山縣:そうだと思いますが、もっと大きな視野で見てみると、もちろんLGBTイシューも重要で、僕らは当事者としてLGBTに関する課題をどうにかしたいと思って活動していて、パレードもそのためにやっているわけですけど、共謀罪にしろ、教育勅語の問題にしろ、そういう状況が今の日本にはあるわけじゃないですか、実際に。そうなってくると、LGBTの以前の問題として、日本の社会がどんどん息苦しくなってきているような気もしています。



日本におけるレインボーパレードの始まりから紙媒体BEYONDの誕生まで、状況は変化はしているけれど、まだまだマイノリティが生き辛いという社会を作っているのは私たち一人一人なのだと思わされます。そして誰もが前を向いて生活できるような社会にしていくのもまた、私たち一人一人なのだなあ。とても興味深く考えさせられます。集中力MAXのまま後編へ…!開催間近の東京レインボープライドについてもお聞きしています。



注:
(※1 1969年6月28日、ニューヨークの「ストーンウォール・イン (Stonewall Inn)」というゲイバーが警察による踏み込み捜査を受け、居合わせたがゲイやレズビアンなどLGBTの人たちが初めて警官に立ち向かって暴動となった事件)
(※2 執筆や講演などで90年代のゲイ・ムーブメントに影響を与えた評論家、小説家)
(※3 同性愛者の団体に対し、東京都が「青少年の健全育成によくない」という理由で宿泊施設「府中青年の家」の利用を拒否した事に対して、1991年2月に団体が東京都を提訴、1997年9月の二審で原告団体の全面勝訴で結審。)



text・interview 野村(ONLY FREE PAPER)
photo 野村・松江(ONLY FREE PAPER)


2017-04-27 | Posted in OFP STAFF, インタビューNo Comments » 

 

フリーマーケット ” オンフリマ 2 ” 開催!!

今年もやります!!
当店も入居させていただいております東小金井駅高架下のコミュニティステーション東小金井最大のイベント「家族の文化祭(春)」が4月23日(日)に決定いたしました!!



〜日常を旅する〜と題された今回の文化祭も非常にバラエティに富んだ出店者様が東小金井の高架下をお祭りに変えます!!
そんな中、ONLY FREE PAPERでは前回に引き続きオンフリマを開催させていただきます。(前回はこちら



オンフリマとは、フリーペーパーを発行している又は発行していた方々を中心に、興味深い活動をされている方々をお呼びして開かれるフリーマーケットになります。

初めてオンフリマとして参加させていただいた前回は、イベント全体としてのべ5,000人(!?)もの動員を記録し、家族の文化祭史上最も多くの方にお越しいただいた回となりました。

今回も個性豊かすぎる5組に出店いただくことになりましたので、さっそくご紹介させていただきます!!

奥山いちご農園
ONLY FREE PAPERのデザイナーでもある奥山太貴氏がコンセプトデザイン・アートデザインを手がける奥山いちご農園(実家)が岡山県からやってきます。先日のオープン以降瞬時に話題となり大盛況、メディアも多数押しかける注目のお店です。お店が素晴らしいのはもちろんですが、大事なのはいちご。もちろん美味です。美しいです。

caikot. TURN ON
国立の駅から少し離れた古い一軒家に同居する、ヴィンテージ古着のお店<caikot(カイコ)>とレコード店<TURN ON>。1900年代初期から70年代までのヨーロッパのヴィンテージ古着や雑貨、日常で使われていた古い紙ものなどが時代を旅してヒガコへやってきます。また、日常の旅といえば音楽。ここにいながらどこへでも、どんな時代へでも行けちゃいます。頭の中でカチッとスウィッチが切り替わるようなレコードに出会えるかも。

ナイスガイ
2012年の創刊以来《何一つ有益な情報が載っていないフリーペーパー》部門のトップを走り続ける孤高の集団がフリーマーケット初(?)出店!!《実は結構ファンがいるフリーペーパー》《好きだけど好きだということをなかなか読者が公言してくれないフリーペーパー》部門でも常に上位に食い込むナイスガイ達の注目のフリーマーケットはやはり謎に包まれたまま当日を迎えそう。

ビューブックス
短編集『全部遠くにあった』が先日の第20回文化庁メディア芸術祭にて審査委員会推薦作品に選出された漫画家・ビューこと大谷秋人さんがこの日限り(!?)の本屋を出店!自身の漫画はもちろんのこと、オススメの漫画を中心とした本がずらりと並びます。従来の《漫画》の概念を吹き飛ばすビューワールドは一度ハマると抜け出せない不思議な空気感を作り出し、手に取った人を新しい旅へと誘います。

・BLUE+GREEN JOURNAL
東京都・奥多摩町。東京であることが信じられないくらい山々に囲まれたその土地は、知名度と夏場のレジャー地としての立ち位置を確立していますがその実態や生活はあまり知られていないのではないでしょうか。
そんな奥多摩に移住した編集者ご家族から発信されるフリーペーパーが今回紙面を飛び出しマーケットに参加!!奥多摩を独自の視点で編集しあげた注目の出店です!!

(五十音順)

以上5組になります!!
普段はフリーペーパーという紙面上の世界で様々な《旅》を提供する方々が、紙面を飛び出し普段とは少しだけ違う日常の旅へと誘ってくれること間違いなし!!

4月23日、ヒガコでお待ちしております!!!

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オンフリマ
【日時】4月23日(日) 10:00-16:00
【会場】ONLY FREE PAPER ヒガコプレイス店(東京都小金井市梶野町5-10-58 コミュニティステーション東小金井)
-JR中央線「東小金井駅」北口より約徒歩3分-
【主催】ONLY FREE PAPER
【協力】株式会社リライト

家族の文化祭
【日時】4月23日(日) 10:00-16:00
【会場】コミュニティステーション東小金井
-JR中央線「東小金井駅」北口より約徒歩3分-
【主催】東日本旅客鉄道株式会社、株式会社中央ラインモール
【運営】家族の文化祭実行委員会
【後援】小金井市
www.facebook.com/kazokunobunkasai
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2017-04-03 | Posted in NEWSNo Comments »