2017-10

インタビュー #10 「UNDIES ZINE」



ある日突然現れた、男性の下半身とパンツだらけのフリーペーパー。よくよく見ないと部位や体勢が分からないほどの至近距離から切り取った、男性の局部や臀部(パンツ付き)が次々と目に飛び込んできます。
誌面から漂うのは、柔らかな光を受け、思わず見とれてしまうほどの美しさと、性ではなく美を追い求めるが故のエロティックさ。男性の下着という存在に対してほとんど1mmも興味を持ったことのなかった女性でさえも、思いがけずこれらの写真から、全パンツの意味を考え、自分の“性”を見直してしまうような媒体です。
発行者である「UNDIES」というパンツユニットの男性二人組にお話を伺うべく、都内某所で待ち合わせ。インタビュー当日、私の目の前に座ったのは、「くつべら」という名の犬を被った人と、犬を気遣う髭が生えた中性的な人。そしてテーブルには、男性の局部がアップになった『UNDIES ZINE』と、撮影に使った実物のパンツ群が…。

『UNDIES ZINE』

メンズパンツをモチーフに、写真、イラスト、文章で表現する「メンズパンツ好きのためのマガジン」。パンツユニット「UNDIES」の二人が、モデル、撮影、執筆、デザイン、ほぼ全てを分担し制作している。撮影に使うパンツは全てモデル所有のもの。くつべら氏は約100着ものパンツを所有している。2016年創刊。

—パンツユニット「UNDIES」—
くつべら @9tubera
いぐちまなぶ @manabu_IGUCHI

●犬…???

野村:あれもこれも聞きたい…というフリーペーパーのことを伺いに来たのですが、お会いしたとたん、ますます気になることが増えてしまいました。まずは、なんで犬になっているのでしょうか?



くつべら:犬は3年前くらいからですね。僕より前に、すでに犬を被っている人たちがいまして、Twitterで見つけて僕も被るようになりました。これを被ってフェティッシュパーティー(※1)に行ったり、自分たちでイベントを企画したりしています。

野村:どういう人たちが集まって、主にどういうことをするパーティーなんですか?

くつべら:衣装の新作を発表しに来るみたいな人もいるし、ショーを楽しんだり、あとは交流ですね。基本的に社交場なので。写真を撮ってツイートし合う、みたいな。

野村:ファッションをほめ合うんですね。みんな男性ですか?

くつべら:いえいえ、女性もいますよ。男女問わず、30歳前後の人が多いかな。衣装にもお金がかかるので、20代後半くらいから実行力が出てくるというか…。30代後半から40代くらいになると、もうみなさんクオリティがすごいです。どんどん本格的な装備を揃えてきます。

野村:変身願望の具現化ということ?

くつべら:それはありますね。普段と全く違う自分になりたいという。だから、そういうところで顔見知りでも、みんな活動しているニックネームで呼び合っているので、本名は知らないんですよね。そういう風になりたい、そういう風に認識されたいっていう名前で呼んであげることが最大のリスペクトなので。僕のことはぜひ「くつべら」と呼んでください。



●パンツユニットUNDIESと『UNDIES ZINE』の誕生

野村:最初にUNDIES ZINEの表紙を見たときに、メンズ下着のブランドやメーカーの媒体かと思ったのですが、お二人ともやはりこういったファッションやアパレル関係のお仕事をされているのですか?

くつべら:全然違うんです。

いぐちまなぶ:オシャレとは無縁だからね。

くつべら:犬だしね。

野村:そうですか。確かに内容を見てみると、パンツというより下半身、それも局部や臀部をとても丁寧に愛を持って美しく扱っているという印象でした。そこにパンツが付属しているような。パンツに対する愛や身体に対する愛、美に対する愛…。とにかく「愛」というのを誌面からとても感じたのですが、お二人は恋人同士なんですか?



いぐちまなぶ:よく聞かれるよねーそれ。でも違うんです。そもそも犬だし。

くつべら:お互いにタイプと違うんですよね。

いぐちまなぶ:どんな関係だろうね。よく遊ぶよね。

くつべら:遊びの関係ですね。

野村:どういうきっかけでパンツのZINEを作ることになったのですか?

いぐちまなぶ:くつべらくんがパンツが大好きで、Twitterで自撮りしたパンツの画像を上げているのを見ていて、なんか変な子だなって思ってたんです。

くつべら:パンツの自撮りを上げるのは、くつべらアカウントを始めた5年前ぐらいから日課になっていたんですよね。

野村:パンツが好きで自撮りを…。

くつべら:それまでは田舎の実家暮らしだったので、ちょっときわどいパンツを買うのは郵便局に局留めにして取りに行ったり、こっそり楽しんでたんです。それが一人暮らしだと、何も憚ることなく好きに楽しめるということに気付いて。当時住んでいた家が朝の日差しがたくさん入る家で、朝撮ったらすごく絵になるんじゃないかと思って、自分で撮って投稿を始めたんですよね。

野村:なぜパンツだったんでしょう。何かきっかけがあってパンツに興味が向いたんですか?

くつべら:確か、ドン・キホーテの下着コーナーでセクシーなものを見かけたのが、最初のきっかけだったと思います。単純にすごく興味が湧いて。知り合いが見てるんじゃないか…とソワソワしながら購入したスリルと、実際に履いてみたときの気持ち良さ…。それが今に続いている気がします。あと、パンツだったら家族に隠れて洗ったり干したりできることとか、東京で一人暮らしするときにコンパクトにして持っていけるところもメリットでしたね。管理と手入れのしやすさですかね。




いぐちまなぶ:俺は当時、友だちや知り合いにモデルになってもらって写真を撮ったりしてたんですけど、くつべらくんの自撮りの写真をTwitterで何度も目にしていて、一眼レフで撮ってみたくなったんですよね。それでまず試しに撮ってみたら、パンツの形や生地によって、見せたい角度とか切り取りたいところが違うんだなという発見があって、いろいろ提案を出しながら撮っていきました。

野村:その時に撮ったものをベースに、UNDIES ZINEが出来上がったのですか?

いぐちまなぶ:フリーペーパーっていう話になったのは、その最初の撮影から1年後ぐらいかな。

くつべら:そうだね。なんか形にできるんじゃないかなって。僕はもともと、地元にいた頃はフライヤーとか紙ものを作っていたんです。東京に来てからは仕事でしかやっていなかったので悶々としていたというか。アウトプットしたかったんですよね。あと、まなぶさんの熱量。撮ってもらったら、「ここの生地のシワが…」とか「ここの盛り上がりが…」とかすごい熱弁してくれて。お互いに機が熟したというか、そういうタイミングだったんですね。



野村:創刊号から一貫して、とにかく写真が美しいですよね。表紙も毎号、興味をそそられるアングルと切り取り方で。

くつべら:表紙については、まなぶさんと相談して毎回自撮りでやらせてもらってるんです。

いぐちまなぶ:そこは俺も、くつべらくんの自撮りがいいと思っていて。彼がUNDIESのアイコンなんですよね。毎回テーマやアプローチを変えても、ベースのスタンダードなものはキープしていきたいんです。

くつべら:うん。

●人を繋いでいく、UNDIES流アプローチ

野村:第2号から、表紙で「メンズパンツ好きのための」と謳っていますが、メンズパンツ好きというのは、コミュニティがあったり、そういうシーンがあるんですか?

くつべら:あるのかな?

いぐちまなぶ:聞いたことない(笑)

くつべら:何となく興味本位で形にして「やりたいことをやった」っていう1号ができたときに、新宿二丁目にあるオカマルト(※2)に見せに行ったんです。フェティッシュイベントなどで面識のあった店主のマーガレットさんというドラァグ・クイーンの方が、「これまで見たことないし、面白そう」と言ってくれて、そのときにアドバイスもしてくれたんですよね。「手に取ってほしかったら、手に取ってもらうための工夫を考えなさい」と。

いぐちまなぶ:それで2号目からは表紙に一言入れたりして、パッと見て趣旨がわかるようにしました。

くつべら:そこで初めて、どういう人に手に取ってほしいんだろう、っていうのを考えましたね。男性だけでなく女性にも、性別問わず手にとってほしいですね。

いぐちまなぶ:俺は今は、女性に手に取ってほしいという意識が強いかも。一部の人だけでキャッキャするのも楽しいんですけど、もっと広い視点で見てもらいたいというか。



野村:メンズパンツがモチーフではありますが、メインテーマはやはり「性」という部分なのでしょうか。パンツと身体がとても美しく見える写真で、決して卑猥ではない、セクシャルなものをすごく感じます。品のあるいやらしさというか。

くつべら:その表現はすごい嬉しいです。

いぐちまなぶ:メンズの下着って、いやらしいものではないんですよね。ただの表面的なものでしかない。下品にならないようにしようっていうのは、創刊のときから今でも大事にしていることなんです。

くつべら:その感覚は二人ともとても近いよね。

いぐちまなぶ:性というものをあえて使っている、というところはあるかもね。ただ、それだけを見てほしいわけではないんです。



くつべら:見たこともないものを作りたい、っていう気持ちが大きいですね。印刷するならちゃんとしたクオリティのものにしたかったし、こだわって作りたかったんですよね。

野村:そのこだわりはZINEの配布場所にも現れていますか?

くつべら:そうですね。我々の行きつけのお店が多いんですけど、“Invitation”という配布MAPを作っています。純粋にこのMAPを拡げていくこともそうですし、これで人と場所や人と人を繋げていくということが、すごく面白いなと思っています。




いぐちまなぶ:「デパートメントH(※3)」という鴬谷で開催されているフェティッシュのイベントで告知コーナーがあって、その時にはこの“Invitation”だけを配っているんです。

くつべら:それは二人のこだわりです。絶対にZINEは配らない。

いぐちまなぶ:ZINEを置かせていただいてる場所が、自分たちが本当に好きなところなので、ぜひ足を運んでもらいたいんですよね。微力ながらZINEを使って、そういう面白い場所の紹介とか案内にも貢献できたらなと。

くつべら:それが、ZINEを置かせてもらうことに対してのお礼だと思っています。“Invitation”は、UNDIESのこの取り組みに対する「招待」っていうことなんです。

野村:それはすごく面白いアプローチですね。フリーペーパーまでのアクセスや、そこに起こる一連のムーブメントを含め自分たちの価値観を提示している。

くつべら:そう思います。だから僕たちが好きな、ZINEを置かせていただいているところっていうのは、こういうことを面白がってくれる人たちがいるようなところばかりなんですよね。

いぐちまなぶ:このMAPがもっと広がって、“Invitation”だけ持ってちょっとこっちも行ってみようよ、なんてなってくれたら嬉しいなと。

くつべら:最高だよね。

いぐちまなぶ:だから、ZINEの手渡しはしないんです。



●パンツから見えてくる、“人”

野村:くつべらさんの自撮りありきで始まったUNDIES ZINEですが、3号からは別のモデルも出てきますね。

くつべら:2号目までは自分たちも手探りで作ってきたのが、3号目からはやりたいことがはっきりしてきたんですよね。

いぐちまなぶ:あと、モデルも体型の違う人が出たりしたら、もっと幅広い楽しみ方ができるよねっていう話をある方からされて。それで3号4号とやってみて、誰がモデルになるかで、見え方がすごく変わるんだなと感じました。特に4号で自分がモデルをやってみて、パンツの選び方や見せ方で「自分らしい」ってこういうことだなと、すごく考えたんです。だからやっぱり、人それぞれのパンツ観っていうのがあるんだろうなと。

野村:人それぞれのパンツ観…!パンツは基本的にプライベートなものなので、そのパンツ観は本来は自分だけの楽しみなのかなと思うのですが、こうしてZINEにすることで、そのパンツ観を他人と共有することもできるんですね。



いぐちまなぶ:パンツってプライベートなものですけど、“完璧なプライベート”ではないと思うんですよ。完璧な、という意味でいくと、もう全裸なんですよね。パンツはその完全プライベートな部分を隠すためのものなので、パンツという存在自体はプライベートではあるけれどもパブリック寄りだと自分は思うんです。
あと、どんなパンツを履くかによって、気分が変わりますよね。たとえば「勝負パンツ」っていうのは、自分の気持ちを奮い立たせるために履くもので、履くパンツによって精神的にも少なからず左右されてるんですよね。だから、本当に好きなパンツを履いている自分っていうのは、やっぱり相当気持ちがいいんじゃないかな。



野村:お二人は、UNDIESというパンツユニットでショートムービーも作っていますね。ZINEも動画も一定のクオリティを保ちながらやるとなるとお金がかかると思うのですが、資金面はどうなっているんですか?

いぐちまなぶ:お腹を切っています。

くつべら:完全に。

野村:そこはそういう方針なんですね。

くつべら:誰かのお金でやっていると、その人のためになっちゃうから。自分たちがやりたくて、楽しんでやるのが第一なんです。無理のない範囲で楽しんでます。

いぐちまなぶ:こだわりは強いんですけど、遊びなんだよね。

くつべら:そう。遊びの関係なんです。

いぐちまなぶ:それは崩したくないよね。

野村:今後、紙と動画以外にやりたいことはありますか?

くつべら:いつかやりたいなっていうのが、展示です。二人展。

いぐちまなぶ:毎回、使えない写真がいっぱいあるんですよ。すごく良くてもテイストに合わなくて泣く泣く削ったりとか。文章や絵でもそういうのがあって、何もしないのももったいないなーと。

くつべら:展示以外にもアイデアはとにかくどんどん出てくるんです。ZINEのこのかたちはもちろん続けていきたいんですけど、もっとまるっとこの世界に入り込めるような場所を作って、関わってくれた人に感謝を伝えたいっていうのもありますね。いつもはこのZINEでやるんだけど、たまにテンション張って盛り上がるお祭りみたいなのをやりたいなと思ってます。

いぐちまなぶ:パフォーマンスとかもね。お祭り的なものはその時限りにはなりますけど、紙で見るのとはまた違った面白みのあるものができたらいいね。



●UNDIESの御用達

野村:最後に、おすすめのパンツショップやブランドを教えてください。

くつべら:MAPに載っているパラドッグ(※4)さんとか、今はもう店舗がないんですけど鎌倉のYipunMan(※5)さん。僕はこのYipunManのパンツががすごい好きなんです。肌触りが本当に気持ちいいし、生地の染色も落ち着いた色合いでいいんですよね。 あと、ユニクロも好きです。1号に載ってる中にユニクロのもありますね。

いぐちまなぶ:俺は、4号で履いてるやつなんですけど、ウンナナクール(※6)が、グラフィカルなのが多くて、柄がいいなと。基本的に女性の下着ブランドで、メンズもちょこっと作っているんです。作りが一般の男性下着と若干違うんですよね。ちなみに今日履いてるやつはね…。ジーンズのLeeが出してるパンツで、ジーンズみたいなんですよ。(立って前を開けて見せてくれました…)

(※1)フェティッシュパーティー:様々な性的嗜好を持つ人たちが、ラバースーツ、コスプレ、女装、SMなどのフェティッシュ・ファッションに身を包み集う。フェチにまつわるショーに興じたり、参加者同士が交流することを目的としたイベント。
(※2)オカマルト:新宿二丁目にある、LGBT関連の雑誌・書籍などを集めたブックカフェ。希少な資料も多数。
(※3)デパートメントH:東京キネマ倶楽部で毎月第一土曜日に開催されるフェティッシュパーティー。通称「デパH」。<参考>デパHとは? https://twitter.com/9tubera/status/905623159423905792
(※4)パラドッグ:原宿の男性下着専門店。ノーマルなものからかなりきわどいものまで、品揃え豊富。
(※5)YipunMan:鎌倉発のオリジナルアンダーウェアブランド。生地の染色から縫製まで、すべてこだわりの国内生産。
(※6)ウンナナクール:シンプルな形とカラフルな色使いが特徴の女性用下着ブランド。メンズアイテムもあり。

メンズパンツにこだわり自分たちの表現にこだわり続けるパンツユニットUNDIESは、終始息の合った会話で、お互いへのリスペクトを隠さない、とてもピースフルな人たちでした。
私はと言えば、人生でいちばん長い時間パンツについて考えたんじゃないか…そんな夜になりました。この先の人生では、もう少しパンツの存在を意識して、自分のためにお気に入りのパンツを探そうと思います。
後日、くつべら氏にメンズパンツのカテゴライズと選び方を教えていただきました。私のようにパンツを探しに行きたくなった方がいましたら、ぜひ参考にしてみてください!

また、現在『UNDIES ZINE vol.6』で紹介するお便りを募集中だそうです。メンズパンツにまつわる相談や質問にUNDIESのお二人が答えてくれますよ。

<UNDIESへのお便りはこちらから> https://docs.google.com/forms/d/1OO1wIHGeqeeSTT2T0xIZB3Dk3iclcBf0QgnVPg3ULp4/edit

<パンツ100着を所有する、くつべら氏のパンツの基準>
▼日常的
・ブリーフ
・トランクス
・ボクサーパンツ

▼非日常的
・ビキニ(Tバック/Yバック)
・スパッツ
・ジョックストラップ(Oバック/ケツ割れ)
・褌(六尺/黒猫)
・Iバック
・ノーパン
・その他

(くつべら)朝起きて、刺激が欲しいなーと思った時は、非日常的なものを選ぶことが多いです。ただ、非日常的なものばかり選んでいるとそれが日常になってしまうので、意識的に日常的なものを履く頻度を上げています。非日常ばかり選んでいると、日常的なものが非日常的に感じられて、その逆転現象もまた面白かったりしますよ。


text・interview 野村(ONLY FREE PAPER)
photo 松江・野村(ONLY FREE PAPER)
ロケ地:代々木カレー


2017-10-25 | Posted in OFP STAFF, インタビューNo Comments » 

 

フリーマーケット ” オンフリマ 3 ” 開催!!

当店ONLY FREE PAPERも入居させていただいております東小金井駅高架下一帯のスペース『コミュニティステーション東小金井』最大のイベント「家族の文化祭(秋)」が今年も11月3日(金・祝日)に決定いたしました!!



こちらのイベント内にて、当店は「オンフリマ」と題したフリーマーケットを毎回やらせていただいております。
第一回オンフリマ
第二回オンフリマ



オンフリマとは、フリーペーパーを発行している又は発行していた方々を中心に、興味深い活動をされている方々をお呼びして開かれるフリーマーケットになります。

おかげさまで、来場者数も回を追うごとに増加している様子で、前回は約6,000人もの方に足を運んでいただいたとか!?
今年も賑やかになりそうです。

そして、今回もオンフリマでは攻めに攻めた5組にお越し頂きます!

縄文ZINE
‘都会の縄文人のためのマガジン’というコンセプトを掲げ現在第7号まで発行されているフリーペーパー。深いカルチャーへの造詣が色濃く反映されたそのフリーペーパーは、発行されるごとに着実に読者層とファンを増やし、ジャンルレスに様々な人間を巻き込む巨大な縄文の渦を作り出しています。そんな縄文ZINEがヒガコにやってきます。オリジナルグッズの販売や縄文時代をなぞる贈与経済マーケット(物々交換)などを予定しています。

もとすみマニアックず。
地元である元住吉を愛する女子3人組で製作される元住吉偏愛フリーペーパー。最新号の配布解禁に加え、バインミー屋さん、コーヒー屋さん、花屋さんと、これまでに紙面で取り上げた珠玉の3店からセレクトされたアイテムや、サコッシュバッグやフラワーリースのワークショップなどこちらも盛りだくさんの内容になりそうです。

アルゴンカレー
キャンプ時や登山時、日常でもちょっと小腹が空いた時などにサクッと食べれるカレーなんて魅力的じゃないですか?あるんですよ、それがアルゴンカレーです。しかもオシャレです。カレーリゾット・チキンカレーという定番メニューから、デザイナーでもあるという出展者さんによる雑貨やZINEの出品も!?カレー新聞なるフリーペーパーもここでお披露目予定です。

・UNDIES ZINE
メンズパンツ好きのためのマガジンUNDIES ZINEがマーケット出店!?
キワキワのパンツをまとった男性の股間接写写真がなんとも形容のし難い感情を呼び起こす謎に包まれたフリーペーパーな訳ですが、その謎を今回のマーケットで少しでも解消できるのではと考えています。
ともあれ、出店内容は、パンツクッキーというワード以外は未だ聞こえて来ない。色々な意味で注目の出店です。

・たこ洋品店
一つのモチーフであり具象ではない、という謎のブティックが初出店。第一弾としてピックアップされるのは『古着』。
なんだかよく分からないですが、古着を中心とした雑貨屋と捉えてみて良さそうです。
現在、名前以外がベールに包まれて情報が出て来ないまま当日を迎えそうです。フリーペーパーも配布されるとか….

(順不同)

以上5組になります!!

11月3日、ヒガコでお待ちしております!!!

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オンフリマ3
【日時】11月3日(金・祝日) 10:00-16:00
【会場】ONLY FREE PAPER ヒガコプレイス店(東京都小金井市梶野町5-10-58 コミュニティステーション東小金井)
-JR中央線「東小金井駅」北口より約徒歩3分-
【主催】ONLY FREE PAPER
【協力】株式会社リライト

家族の文化祭
【日時】11月3日(金・祝日) 10:00-16:00
【会場】コミュニティステーション東小金井
-JR中央線「東小金井駅」北口より約徒歩3分-
【主催】東日本旅客鉄道株式会社、株式会社中央ラインモール
【運営】家族の文化祭実行委員会
【後援】小金井市
www.facebook.com/kazokunobunkasai


2017-10-16 | Posted in NEWS, 未分類No Comments » 

 

Tokin個展「幻ではない」レポート



9月17日〜30日、個展「幻ではない」が無事に閉幕しました。
イベントも装飾も告知のやり方も…とこだわりまくり、壮絶にてんやわんやでしたが、初日から最終日まで最高の2週間でした。




展示したのは、「感情の取り扱い方」をテーマに描いた約70枚の絵。
いつもあるはずなのに意識せず、かといっていざ見つめてみると正体のわからない、自分の感情。摑みどころがなく流動的なそれとの付き合い方を、空間で作ってみたいと思いました。




会場のあちこちや絵に書かれた言葉と絵で作り上げたのは、心の中に入ったような空間。じっくり見て下さる方が多く、また、何度も来て下さる方もいらっしゃってありがたかったです。




そして、その感情の「取扱説明書」として作った画集の販売も。表紙にあしらったのは、会場の装飾に使ったものと同じもの。展示と本が、リボンでつながっているみたいでしょ。




さらに、フリーペーパー「ゾンビ道場」Vol.1〜20を全収録した総集編まで作りました。水彩の絵から離れたスピンオフのつもりだったのですが、サイズもページ数もむしろ主役級になっていました。やる気がみなぎっていますね!




こちらは、好きな絵と表紙を選んで冊子を作る手作りZINEコーナー。自分の絵が使われて、その人の作品になっていくのは新鮮でうれしかったな。





初日と最終日には、イベントを開催。
まず初日は、フリーペーパー・ナイスガイの菊池さん、キデンセンの浅草キッサさんをお招きしてのトークショーです。
「気の小ささから脱却したい、パリピ的な人が羨ましくて死にそう」という漠然とした思いから「うまくNOを言うにはどうしたら良いのか」「同じ話を二度聞いた時にどうやって話を遮れば良いのか」など、小さすぎる悩みを放り投げさせて頂きました。



考えた末の質問に、冒頭から「あまり考えても仕方がないんじゃないか」という返答を頂いて動揺。「不安を先読みしても限界がある」「楽しもうとする気持ちからパリピは始まる」など新しい視野を開拓して頂いた上に「そこまで他人の事を気にするTokinさんは優しい」という励ましの言葉まで頂き、その寛大さと余裕はまさに神仏のそれであり「パリピは仏」という事で決着がつきました。
最後に「一緒にクラブに行って下さい」と約束をしたので、きっと近いうちに実現する事でしょう。



また、会期中は、ツイッターで募集したメッセージを店頭の窓に描いていました。募集したのは「あなたの気持ちを形にすると何ですか?」というもの。私の気持ちだけでなく、その場にいない人の気持ちも会場に描いて積み上げたかったのです。





灯台、劇場、金魚など具体的なものはもちろん、心情を表したメッセージも多く頂き、想像力をフル回転させて挑みました!!






そして最終日は、朗読詩人・成宮アイコの朗読と、タダフジカのギター弾き語り、それからTokinの絵で作るライブショー!
感情を丁寧に拾い上げるような朗読と、その悲喜こもごもを描いた音楽で、集まったメッセージを一つの絵にしていきます。





描き上げたのは、寄せられた「気持ちの形」を着た子供達。いろんな思いがあれど、手を取って踊るように進んでいけたらいいよね。




ライブの開始の頃に差していた夕方の光も、終演の頃にはすっかり暗くなり、完成した絵が夜のコンクリートにくっきりと映されていました。                                    
こちらの絵は、今後もしばらく見る事が出来ます!OFPにお立ち寄りの際は、フリペ採集のついでにぜひ見てみて下さい



コンプレックスとか「私だけ気にしすぎだろうか」というモヤモヤをどう払拭するかずっと悩んできたけれど、モヤモヤしきってイベントにする、というのは思いがけない突破口でした。
払拭しない、という解決方法もあるのか!

トークショーで個人的な相談を盛り上げてくれた、キクチさん、浅草キッサさん、ライブでがっつり締めくくってくれた成宮アイコちゃん、タダフジカさん、そしてONLY FREE PAPERの松江さん、そして何より、お越し下さった皆々様!!本当にありがとうございました。






紛れもなく、幻ではない現実。でも、夢みたいに幸せな2週間、めっちゃくちゃに楽しかったです!




トキン Tokin
アーティスト、イラストレーター。「心理とおとぎ話」をテーマに、心理、社会、メンタルヘルスを題材とした淡い水彩画を描く。
学生時代より精神疾患を患いつつ、ごまかしごまかし学校へ行ったり辞めたりまた入ったり、入院したり就職したりと七転八倒。長期入院をきっかけに2012年、自身の精神障害(解離性障害、双極性障害)を漫画で描いたフリーペーパー「ゾンビ道場」を発行。そのコミカルな表現がメディア等で話題を呼ぶ。
朗読+音楽+絵で構成されるイベント「カウンター達の朗読会」では、ライブペインティングや会場装飾のパフォーマンスも。
痛みと生きる現実と、ファンタジーとが繋がった時、そこから見える世界は何色?
web site:http://tokin.info/
Twitter:http://twitter.com/Tokin0528





2017-10-12 | Posted in PEOPLE, トキンNo Comments » 

 

インタビュー #9 「 手紙暮らし」



皆さん、最近手紙書いていますか?

僕は、20歳くらいの時に当時好きだった女の子に書いたのが最後だと思いますので、もうかれこれ10年以上も前のことになりますね。手紙って書いている本人の想いがすごく乗ってきやすいので、その後溢れでた感情により無事立派なストーカーが爆誕した記憶がありますけど。
まぁまぁ、ちょっと待ってください!この先、僕の季節はずれの怪談話は一切出てこないので何卒このページを去らずに先を読み進めていただきたいのですが、、、
(とりなおして)今目の前にいない自分以外の誰かに言葉を届ける手段がシンプル且つ迅速になり、それと同時に重要な何かを介入させるための隙間さえも利便が踏み消してしまったように感じる今日この頃です。

各方面で見受けられるアナログへの立ち返り現象は、単なる懐古主義では済まされない何かを内包しているように思わずにはいられません。
そんな中、スマートフォンサラブレッド世代の高校生が手紙について書き綴るフリーペーパーがあるというのを耳に挟み、これは話を聞かないわけにはいかないと思い、発行者の江森みずほさん(上部写真左)と岸田カノさん(同右)に学校生活も忙しい中、時間を作っていただき、お話を伺いました。

『手紙暮らし』

手紙を書くことの楽しさ、文通をすることの魅力を伝えるフリーペーパー。創刊は2017年7月。「インターネットで探したり、知り合いを伝ったり」という配布先は全国にまたがるがほぼ配布終了状態。現在は11月に発行予定の第2号を製作中。
https://www.facebook.com/tegamigurashi/
instagram @tegamigurashi


・手紙暮らしの始まり

松江:まずは、二人の出会いを伺えますか?

江森:私たちは二人とも、海外の方と文通をしていて、そのもらった手紙とかの写真をInstagramで紹介しているんですけど、そこでフォローし合っている関係だったんです。

松江:じゃあ、Instagramを通じて二人は知り合ったんですね。

江森:はい、そうです。でも特別仲が良いということではなくフォローし合っている中の一人でした。

松江:そこからフリーペーパーを作るに至った経緯を伺えますか?

江森:私は、海外の方を中心に文通をしていて、どの手紙もすごく素敵でもらった時すごく嬉しくて、とてもワクワクするので、このワクワクをみんなに共有したいなと思っていたんです。でも文通ってそもそもやってみようという選択肢が(周りの人には)ないので、文通を始めるきっかけ作りみたいなものをどうにかして作りたくて、それはどんな形でもよかったんですけど。
そんなある時に高校生でフリーペーパーを作っている人に出会う機会があって、「フリーペーパーいいかも!フリーペーパーならできるかも!」って思ったんです。それで誰とやろうかと考えた時にInstagramで同じ高校生で文通してる子がいることを思い出してすぐにDMをして、「一緒にやってみない?」と誘ったらのってきてくれたので始めました。

松江:そんなDMが来た時、どういう思いでしたか?

岸田:みずほとは最初に少しコンタクトをとっただけで1年ほどは特にやりとりはなくてお互い写真に【いいね】しているだけだったんですけど、ある日突然DMが来てたので見たら面白そうな内容だったので「是非!」って返事しました。そのあとお互い予定を合わせて会いました。

松江:じゃあその時に初めて顔を合わせたんですね。

江森:はい、結構ドキドキしました(笑)。

松江:フリーペーパーというものに関して以前に何か知識やイメージって持ってましたか?

岸田:親が紙ものが好きなので、フリーペーパーが置いてあるレストランとかに行くと料理待っている間によくフリーペーパーラックから取って来て読んでいました。でもまさか作る側にまわるとは思っていませんでした。



・文通のきっかけ

松江:文通はいつからやってるんですか?

江森:今高校3年生なんですけど、中学3年生の終わりからやっていますね。

岸田:私は今高校2年生で、海外の方を文通を始めたのは中学3年の終わりくらいからですけど、日本人の友達とかとは小学生の頃からです。

松江:小学生から文通ですか!えっとそれはいわゆるペンパルのような?

岸田:いえ。引っ越したのがきっかけなんですが、引っ越した先に友達が手紙をくれたんです。もともと書いたりすることが好きだったのもありますし、時間もいっぱいあったので2日に1回くらい書いてましたね。

松江:インターネットを使えば海外の方ともすぐにコミュニケーションを取れると思いますが、あえて手紙というアナログな手段を使った理由はありますか?

江森:小さい頃に読んだ絵本の中に手紙が山積みになった絵があったんですね。それがずっと心に残っていて、何かわからないけど好きみたいな。あと切手シールみたいなもので遊ぶのも好きでした。中学生頃になって『私、手紙が好きかも』って自覚し始めて、色々手紙について調べていたら【ポストクロッシング】っていう世界中の人とハガキを交換するプロジェクトがあるんですけど、それを見つけて『じゃあやってみよう』と軽い気持ちで始めたらハマったというのですかね。

岸田:私は、とにかく紙を触っているのが好きで、手紙もそうだし本を読むのも好きだし、図書館に行って紙を触ったり匂いを嗅いだりペンを持ったり、そういう感覚全てが好きで、そこからお手紙交換とかに広がって、そういうものがどんどん日常の中に入って来たという感覚で、特別これだっていうものはないんですけど。

松江:Instagramを見せてもらったんですけど、色々な国の方とやり取りしていますよね。そもそも世界各国の方とどのように繋がるんですか?

江森:世界中に私たちと同じように文通専用のInstagramアカウントを持っている人がいて、それがあるとお互い(文通を)やっていることがわかるので「私ともやらない?」みたいなDMが来たり、こっちから送ったりみたいな感じで繋がります。結局文通もInstagramから始まります(笑)。

松江:めちゃめちゃ面白いですね、それ(笑)。



・文通にまつわるあれこれ

松江:文通相手を選ぶ基準ってあったりするんですか?

岸田:同世代が多いです、だいたい(自分の年齢と)プラスマイナス5歳くらい。

江森:みんなどこの国も同じくらいの年代で探している人がほとんどです。

松江:何人くらいの方とやり取りしているんですか?

江森:ほんとは30人くらいいるんですけど、海外だから時間かかったりお互い忙しかったりで、密にやっているのは10人にも満たないくらいです。あとの20人は思い出した時に出したりで年に数回とか。

岸田:私は20人くらいで、よくやり取りしている子で1ヶ月に1回とかですね。

松江:Instagramに並んでいる写真を見る限りでもすごい数の手紙がありますよね?

江森:最近は忙しくてお休みしてるんですけど、多い時で年間300-400通くらいやり取りしてましたね。ほぼ毎日届いていたので。

松江:400!??岸田さんも同じくらいですか?

岸田:私はもうちょっと少ないですけど、100通くらいです。

松江:それでも100かあ。それと、どれも写真が整然としててとても素敵ですよね。

江森:手紙って自分もそうですし、相手も私のために時間かけて書いて飾ってくれたものなので。家に山ほど手紙がありますけど一つ一つがとても重いです。そういう重さは大事にしたいと思って撮ってます。

岸田:「この封筒の柄にこの切手合わせたのかぁ」とか思いながら写真を撮っているとその時自分が感じているワクワク感とかがそこに残る感じがして、撮っていてとても楽しいので余裕ある時は結構力入れて撮ります(笑)。

江森:自分が送った手紙を相手が投稿してくれてるのを見た時にやっぱり嬉しいので。お互いに『届いたよ!』ってInstagramに載せるまでが文通(笑)。

松江:なるほど〜!!

江森:でもそれがすごくいいなーと思っていて。(デジタルとアナログが)共存している感じがまた魅力的だなーって思います。私もSNSとかすごく使いますし、助けてほしいくらいiphone依存症です(笑)。

岸田:よく「SNSとか嫌いなのでしょ〜」とか言われるんですけど、かなりの確率で携帯見てるし、今の社会で生きてるからどっちも好きだなーって思いますね。

松江:すごい学びがあるなーその辺の話。



松江:ちなみに文通相手は日本人の方もいるんですか?

江森:私は一人だけですね。それも友達で、面識のない人とはしていないです。

岸田:私は20%くらいです。

松江:それは、異文化交流とか英語力の向上とかが目的だったりするんですか?

江森:中学生の時に色んな国に海外旅行行ってみたいと思っていたんですけど、時間もお金もないから実際に行くことはできないんですけど、色んな国の人と文通することで世界旅行した気分になれて。(言葉のやり取りだけでなく)物とか届いたりすることもあるので。そのことは手紙にハマるきっかけになりましたね。聞いたことのないような国の人でもその人が書いたものが今ここにあるんだと思うと、なんか世界ってどこも近いなみたいな。そういう部分に感動があったので海外の人が多いです。

岸田:そもそも日本人の方で手紙のアカウントを持ってやっている人が海外の方に比べると本当に少なくて。Instagramで日本人の方の(手紙専用の)アカウントを探すっていう感覚があまりないです。

松江:へえ〜。そうなんですね。

岸田:手紙が届くと家族も毎回興味津々で、おじいちゃんおばあちゃんもすごい目を凝らしてアルファベット読み取って「おおこれはスイスからじゃないか」とか。もう体が若くないので実際に海外の色々なところに連れて行くのは無理なんですけど、手紙で繋がることでそういう行けない人を連れて行けるっていうのがあるかもねっていう話を母親としていました。

松江:確かに、facebookとかでも海外の方と繋がれますけど、現地の気分を味わうのは難しいですもんね。

江森:匂いとかも違うので。手に取って封を開けた時に「うあ!海外の匂いがする!」とか。



松江:ちなみに文通相手と実際会ったことはありますか?

江森:一回あります。でも英語喋れないから不安すぎて、学校の帰国子女の子を連れて行ったんですよ。そうしたら向こうも英語があまり喋れなくて、向こうが連れてきた英語が喋れる友達と私の(帰国子女の)友達が仲良くなっちゃって、なんか寂しいなって思った思い出があります(笑)。
10月にフランスから来る予定のペンパルがいるので、その時は帰国子女を連れて行かないで一人で頑張ろうかと思ってます。

松江:手紙にまつわるエピソードで、他に印象的なものって何かあったりしますか?

江森:鹿児島県に仲良くしてくれている方がいて、手紙のやり取りをしているというか、私が旅先からハガキを送ったりするんですけど、「いつもみずほに手紙を書こうと思うけど、なんて書いていいのかわからずやめちゃうんだよね」みたいなことを言っていて。その方はさつま揚げを製造されている方なんですけど、「これが僕なりの返事です。」ってたまにそのさつま揚げを送ってきてくれるんです。私はそれが彼からの手紙だと思っていて、手紙って別に紙でなければいけないとか文字が書いていなければいけないとか思ってなくて、もっと自由なものだと思うんですよ。だとすると手紙の定義ってなんだろと思っていて。それがなんなのか私も今探してる最中なんですが。それについては考えていきたいですね。

松江:手紙の定義かぁ。確かに面白いテーマですね。

江森:今後フリーペーパーでその辺りをやりたいと思ってます。

松江:特に海外の方と文通することで感じたりすることはあります?

岸田:日本人であることを強く認識したっていうのはあります。海外の方と関わることでその国の文化とは違うんだなって思いますし、そもそも【日本人】として見られているので。そういう世界の中にいると、やはり日本人として日本の文化に興味を持ってもらえると嬉しいし、全力で伝えたいと思います。

江森:世界に対して抵抗がなくなりましたね。例えば、アゼルバイジャンとかよくわからない国でも、そこには同じように高校生がいるし、同じような考えを持って、同じように可愛いものが好きだし、それでその人が書いたものがここにあるしみたいな。なんか繋がれない世界ってないなって思って。

松江:それがインターネットじゃないっていうのが面白いな〜。

江森:インターネットの方が逆に遠い気がします。

岸田:その子が選んだ紙や封筒で、その子が書いた字が届くことでそこでその子が生活して当たり前のようにその子が存在しているんだなってことを実感します。

松江:あ、生きてた!って?(笑)

江森・岸田:(笑)

岸田:ニュースとかで海外の情報とかが耳に入ってくるとその情報だけを意識してしまって、行ったこともないし特に考えもしないのに、自然とその情報が脳に刻まれてしまっている部分がすごくあるなっていうのを手紙を始めてから気づいて。この国の人はこうだとか、性格はどうだとか。手紙を書くって送る相手のことを考える行為でもあるので、もしかしたらそれ自体が世界平和に繋がるんじゃないかと思って(笑)。
だって、ペンパルがいる国で戦争が起こったら『◯◯ちゃん大丈夫かな』って考えるし、日本で地震があった時も「大丈夫?カノ」って連絡をくれて。

江森:テロとかあっても【世界のどこか】で起こっている出来事だったのが、誰かのことを考えることで人ごとじゃなくなったのが大きいですね。



松江:海外と日本の手紙文化の違いって何か感じますか?

岸田:郵便事情は国によって全然違いますね。日本の郵便が如何に早いかというのもだんだんわかってきました。ロシアと中国はのんびりで、なくなっちゃうこともたまにあります。それも含めて面白いなって思います。そういった時間を感じることで『手紙も旅をしているんだな』って感覚になります。

松江:手紙とメールとかLINEの違いついてはどうですか?

岸田:手紙が一番【空間がある】と思っていて。封を開けた時に、自分と相手とそしてそこに書かれている内容、その世界がそこに詰まっていて。LINEとかは日常の続きというか。特別な空間はそこにはないっていう認識があります。

江森:フリーペーパー作り始めてから思ったんですけど、手紙って感情を保存できるなーって思っていて。嬉しいこととかムカついたこととか心動くことがあった時に、例えば『来週話そう』だと来週にはもう冷めちゃってると思うんですよ。LINEでその時送っても来週見返したらそれはそれで冷めちゃってる。でも手紙だと、書いているその時の感情が紙に保存されてると思っていて。だから時が経って自分の感情は更新されても、その読んだ先でまた感情が蘇るというか。SNSではそういうのはないと思います。

松江:時差で感情が届く!

江森:はい。お互いの時間の中で感情を共有できるなと思います。あと、周りの友達が言ってた事なのですがtwitterやLINEがあるからこそ手紙っていうものが特別に感じる、だから好きって。



・再びフリーペーパーのお話

松江:こう言っては失礼かもしれませんが、すごく良く作られていて、デザインとかも可愛いし、そして1000部も刷っていると伺いましたが、まずお金の工面はどうしているんですか?

江森:調べたら1000部なら5万円でできるっていうのがわかって、結局そんなかからなかったんですけど。それなら2人で折半したらバイトとかすれば特別賄えない額でもないかなと思って。それに趣味の延長なので、それなら払ってもいいかなと思って。
1号目を出した時に個人協賛を募ったんですけど、それとは別に企業協賛もいくつかいただけて、そのおかげで2号目は今の所なんとかなりそうです。

松江:じゃあ、1号目は完全に自腹ですか??

江森:1号目に掲載させていただいた切手展の広告費とあとは自腹ですね。

松江:紙面もそうですけど、個人協賛を募っているところとか、その募集の文面とか全ての道筋においてすごくきちんとしているので、正直『これ絶対後ろに大人いるな』って思ってたんですよ。

江森・岸田:(笑)

松江:じゃあデザインとかレイアウトも全部自分たちで?

岸田:二人で「こういうのいんじゃない?」というのを言い合って「こういうのいんじゃない?」の重なり合いで出来ていきました。

松江:どうやって作っているんですか?イラストレーターとかですか?

江森:ほとんどパワーポイントとかキーノートとかですね。イラストレーターは高くて買えないので、学校のPCに入ってるやつをたまに借りたくらいです。

松江:まじかー。え、じゃあこういうのも(シンプルだけど立派な名刺を始めにいただきました。)全部自分たちで?

岸田:それは名刺を頼める一番安いところを探して作りました。最近、名刺作っといてよかったなと思います。色々な方と会う機会があって大人の方は皆さん名刺持っていらっしゃるので(笑)。

江森:自分たちの気持ちをあげるためにも形から入ったみたいなところもあります。



・手紙暮らしと周りの人たち、そして今後

松江:親御さんはこういう活動をどう見てます?

江森:温かく見守ってくれています。お金の部分でも少し協力してくれてたりしますが、協賛であれ知り合いの方からお金をもらうのはよく思っていないみたいで。知り合いの方とかにフリーペーパーをあげる時に「あ、あの協賛を募る紙抜いといたよ」とか言われました(笑)。

松江:(笑)

江森:「なんかいやらしいじゃん」とか言って(笑)。

岸田:始めた時に、「あんまり大きくしない方がいいよ」とは親に言われました。「盛り上がりすぎないようにしなさい」って。

松江:このインタビュー大丈夫ですか?(汗)

江森:大丈夫です。ありがたいです。

岸田:でも最近は「インタビュー行ったよー」とかそういう話を(親に)すると「素晴らしいね!」みたいな感じでだんだん理解してくれるようになりました。最近は(自分が)調子に乗らないように気をつけてます(笑)。

一同:(爆笑)

松江:調子に乗ってるフシがあるんですか?(笑)

岸田:いや、なんかウキウキしてきて、あー調子に乗ってるなーって(笑)。
何でもそうですけど、今ある状況を当たり前だと思わないようにしたいなとは思ってます。

江森:こうやって話聞きたいって言ってくださることを光栄に思って。

松江:偉いなぁ。。。

松江:じゃあ今は自分たちが【手紙暮らし】というメディアを作っていることに自覚を持ってやっていると?

江森:やっぱり作ってても人の手に渡るまで実感が湧かなかったんですけど、今は、感想を言ってくださったりとか、応援してますって言ってくださったりとか、そういうリアクションが返ってきて、こうやって本当に人に読まれるんだってジワジワと実感してます。ウキウキしちゃいますね(笑)。

松江:周りの友達の反応はどうですか?

江森:フリーペーパーについては、学校の友達は本当に応援してくれていて、読みたいと言ってくれるし、感想をくれるし、時にはクラスのみんなが作業を手伝ってくれたりもするのでとても感謝しています(笑)。
実際文通を始めるに至る人はまだ少ないですねけどね。

松江:いいねー、、、終わりみたいな?(笑)

江森:はい。でも、フリーペーパーを読んでくれてその後に手紙で返してくれたり、そのまま文通少し始めたり、私が手紙を楽しんでいる姿を見て「私も誰々に手紙書いてみたよ」とか言ってくれる人も出てきていて。私がきっかけで一通の手紙が生まれたらすごい幸せだなって思います。

松江:もっと大きくしたい願望はありますか?

江森:ありますね。というか、元々の思いが【もっと手紙のことを知ってほしい】というところなので、多くの方に読んでもらえるのはすごい嬉しいんですけど、今は【手紙好きの方】の中で広まっている気がしていて、(手紙が興味ない方も)手紙暮らしを読んで、『ああ、手紙っていいな』って思ってもらいたいので、そういう意味ではもっともっと広がるようはしたいです。

松江:やりたいと思うことと実際やることの間にはとても大きな壁があると思うのですが、実際に形にしたそして今後もやっていくモチベーションってなんですか?

江森:『手紙いいねー』で終わっちゃって、始めない人がいることがモチベーションですね。じゃあそういう彼らを始めさせるにはどうしたらいいんだろうっていう。
第2号では、じゃあ実際文通相手を見つけるにはどうしたらいいのかとかそういうことを具体的にやろうと思っているんですけど。前の号で伝わっていないことがあるならそれが次の号のモチベーションになります。

松江:フリーペーパー製作は一人でもできるといえばできるじゃないですか。岸田さんを誘ったのは自分のモチベーションをあげるという意味合いもあったんですか?

江森:それもありますし、好きなものが同じ人と喋ることで一人では思いつかない新しい発見とかもあって、感情を共有できるのが大きいですね。

岸田:手紙をやり取りして、写真撮って、Instagramにあげてというのは楽しいんですけどそれはどちらかというと、一人の価値で完結していることで、今までの自分は、それを共有しようとかあまり思っていなくて、まあ手紙好きな人もいればそうじゃない人もいるだろうし、みたいに思っているところがあったんです。でもフリーペーパー作りを始めてから、自分とは違う感覚を持っている人の意見や想いを知る機会を多く持たせていただいて、自分の世界も広がっていったり、視野が広くなっていくことをひしひしと感じているので、フリーペーパー作りに誘ってくれたみずほにも、手紙暮らしを作るにあたって関わってくれた方々にも、すごく感謝しています。あと、インタビューとかの時に二人だとすごく心強いです(笑)。

江森:(うんうん。とうなづく。)

松江:学校があって、部活もあって、という中でフリーペーパーを作るのは大変じゃないですか?

江森:大変ですね(笑)。

松江:フリーペーパー作りってそもそも別にやらなくてもいいことじゃないですか?忙しい中で、それでもやるっていうパワーはすごいですね。

江森:確かにやらなくても高校卒業できるし、学校生活も毎日楽しいし、満足してるんですけど、嬉しいことがあるとやっててよかったなって思いますし、世界もすごく広がりますし、、、

松江:世界が平和にもなるし。

江森・岸田:(笑)

松江:めちゃめちゃ素晴らしいことづくしじゃないですか!これから進学のことで色々忙しくなったり、そのあとは大学生になったりでどんどん環境は変わっていくと思いますが、ぜひ続けてほしいですね。



立派なフリーペーパーを作る高校生たちは、おそらく同じ年代の彼らとほとんど何も変わらない、等身大の2人組でした。
ただ(今回のインタビューで知る限りでは)一つだけ違うものを持っていて、それは手紙への大きな愛という何者にも代えがたいものでした。
手紙を取り巻く環境は大きく変化しましたが、その本質は何も変わらず、変わってしまったのは僕らなのかもしれない。アナログとデジタルを、そうすることが当たり前というように使いこなす彼女たちのお話を聞いているとそんなことを深く考えさせられました。
今日僕は早速ペンを取り、誰に書くのかそもそも誰かに向けて書くのか、そんなことは考えずにただただ思ったことを紙に記しています。
皆さんも、どうですか?
喧騒の中で慌ただしく日々を過ごすのも悪くありませんが、フッと一息ついて久しぶりに手紙など書いてみませんか?


interview・text 松江(ONLY FREE PAPER)
photo 野村(ONLY FREE PAPER)


2017-10-09 | Posted in OFP STAFF, インタビューNo Comments »