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インタビュー #2 「DEZZERT MAGAZINE」(前編)

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大判の表紙にどーんと甘そうな迫力あるデザートの写真。ページ数も相当、重みもしっかりある立派な雑誌。表紙をめくると心臓がドキドキするほど迫力あるスノーボードの写真やグラフィックが次々と登場します。最後まで見終わってみても文章らしい文章はなく、なぜこれがフリーなのか、誰が何のために、どうやってこんなにクオリティの高いフリーマガジンを作っているのか、とても気になるのです。そんなナゾのフリーマガジンの編集人・酒井隆光さん(タイトル画像:右)と、マガジン全般のかっこいいスノーボードの写真を撮っているフォトグラファー・小野塚章さん(タイトル画像:左)のお二人にお会いすることができました!

『DEZZERT magazine』

スノーボードのスタイルやかっこよさ、楽しさを写真とクラフトアートで表現し、カルチャーやアートの価値を発信し続けるフリーマガジン。現在は年1回の発行で、14号まで発行中。来年は創刊10周年にあたる。
ライディングの臨場感溢れるスノーボードのグラビアと表紙のデザートの写真が特徴。


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●DEZZERT magazine誕生の話

野村:まずはDEZZERT magazine誕生の経緯を聞かせてください。

酒井:最初のきっかけはですね…。もう12~3年くらい前、当時僕はアクションスポーツやファッションに特化した広告代理店で働いていて、そこでスノーボードメーカーの雑誌の広告やカタログなどを作ったりしていました。ある仕事でスノーボードのスチールカメラマンを探していたときに、たまたま章くんを紹介してもらったのが最初の出会いです。そこで初めて章くんの撮ったスノーボードの写真を見たら、めちゃくちゃかっこいい写真だったんです。それを見たときに、まだほとんど世に知られていない、その写真たちを、もっと世の中の人に見てほしい、スノーボードが大好きな人たちに「純粋にかっこいいスノーボード」というのを見てほしいと思ったのが最初のきっかけです。
ただ、今みたいにSNSが発達する前だったし、仕事をしながらどういう方法でこれを世の中に出していけばいいのか自分でもなかなか分からなくて…。で、何か良い方法はないものかなと2~3年考えて、自分自身が雑誌などの紙媒体が好きだったというのもあり、フリーペーパーで出そうということになりました。

野村:そこで”フリー”という選択になったのはなぜですか?

酒井:そもそもは、広告代理店で働いていたし、自分のいる会社で販売ができる、スノーボードの価値が伝えられる雑誌を出したかったんです。その当時はスノーボードの媒体といえばファション性やハウツーなど商業性の高い雑誌が多く、スノーボードそのものを一枚の写真で本当にかっこよく見せているマガジンがなかったので、「うちの会社で作りませんか?」と社長を説得したんだけれど「そんな利益にならないことはしたくない」と…。でもどうしても作りたかったので会社を辞めて、その上で色んなしがらみのない純粋な媒体を作りたいということで、フリーペーパーしかないなということになりました。で、会社を辞めて、まずは自費出版で第一号を作りました。

野村:会社を辞めて…!第一号は自費出版だったんですね。

酒井:そうです。フリーペーパーって広告費がないと出版できないので。ただ、世の中にまだこういうマガジンがなかったので、イメージができないものをメーカーにセールスしても、メーカーとしてもなかなか広告費は出し辛いですよね。スノーボード業界自体がそんなに潤っている時代でもなかったし。なので、まずは自費出版で作って、それをメーカーやお店の人に見せて…というかんじでしたね。

野村:第一号はどれくらい作ったんですか?

酒井:300冊くらい作りました。これが原点になりました。スノーボードのダイナミックな写真とクラフトアート、若手のグラフィックアーティストやフォトグラファーを特集したページ…。これまでこういうものがなかったので、反応はよかったですね。完全に自分たちが好きなことを表現して、何のしがらみもなく作ったのがこの最初の1冊です。

野村:では小野塚さんの写真がメインでスノーボードのかっこよさを伝える、というのはもう最初からコンセプトとしてあって、今もブレていない軸なんですね。

酒井:そうですね。まったくそこはブレてないです。

野村:小野塚さんは第一号の立ち上げから一緒に?

小野塚:僕は当時26歳。。。二十歳からスノーボードの写真でお金を頂きはじめライダーを撮ってるんですけど、マニアックなライダーが多かったんです。通常のスポーツマガジンは売れっ子のライダーを使うのが普通なので、この写真かっこいいと思っても使われなかったりして…。お金にもならなければ雑誌にも出ない、社会的な評価もない、という時期が6年間。僕自身『これは。。。俺何やってんだ?』と悩んでた時に
『章くんの写真で本作ってみない?』と。自分ではいい写真だと思ってるけど評価が全くない時期で、ホントに自分はいい写真を撮ってるのか?とか、自分の立ち位置が分からなかったので、これを出してダメだったらもう辞めようと思ってた。でも出したくらいから徐々に評価が変わってきた。今思うと単純に技術がなかったのかもしれませんね。

野村:では二十歳くらいから毎年冬は雪山へ撮影に…というかんじなんですね。もともとご自身でもスノーボードをされていたんですか?

小野塚:僕は生まれが越後湯沢なんです。石内丸山スキー場から徒歩2秒くらいのところに親父が民宿を経営していて、生まれも育ちも雪国。実家が民宿なので、冬になると子どもは「お前らゲレンデ行ってこい」って追い出されちゃう(笑)ゲレンデは自分の中では近所の公園みたいな感覚です。

野村:編集部としては3人いらっしゃるんですよね。もうお1人はどういった役割の方なんですか?

酒井:もう1人はアートディレクターの吉田孝史ですね。彼がクラフトを作ったり、ぺージデザインとか、こういうアートを…。
吉田も僕と同じ時期に同じ会社にデザイナーとして勤めてて、章くんの写真でこういうものを作りたいっていう相談をしたときに、彼は彼で世に出ているスノーボードの媒体に対して何か疑問を感じていたので、まあ同じモチベーションだったということで、3人でやろうか、となったんですね。

野村:会社を立ち上げたんですか?

酒井:いや…やっぱりフリーペーパーで飯を食っていくというのはさすがに難しくて、基本的にみんなが個人でそれぞれに仕事をしながら、これはこれとして別軸でやっているというかんじです。今は年に一冊作っています。今の時代に広告費だけでこれを出版して、みんなにちゃんと給料払ってというのはなかなか…。現状は広告収入は全て印刷と発送費に充ててますね。
まあ、基本的にはプラスマイナスゼロのところでやってるかんじですかね…。

小野塚:いやいやいやそんなことないよ!毎年みんな3万、5万くらい赤あるよね…。

酒井:まあね、クラフトの画材買ったり写真展の準備費とかね。あとフルーツ買ったりね。

野村:フルーツ(笑)

酒井:そう、フルーツ買ったり、ケーキ買ったり(笑)

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●デザートの話

野村:タイトルと表紙の「デザート」というのはいちばん最初からコンセプトが決まっていたんですか?

酒井:なんかね、こう…正体が分からないかんじがいいなと思っていて。表まわりと中身の違和感みたいなのとか。あと、甘いものの写真てなんか癒されるじゃないですか。で、開いてみたらちょっとソリッドなかんじのかっこいビジュアルがあるっていう、このギャップもいいし…。あとは言葉の響きとか。まあ、完全に僕の感覚ですね。

野村:なるほど。じゃそこは酒井さんの思いで…。

酒井:そうですね。勝手に決めました。

野村:そのあたりは小野塚さんと吉田さんはどうでしたか?

小野塚:うん、ぜんぜん。何かおもしろそうって。楽しんでました。
この去年の表紙(14号)の写真は、ネットでスポンジケーキ買って…。これ14冊目だから14段。

野村:え!お手製なんですか!?

小野塚:そう、近所のスーパーで生クリーム買ってきて、1人で家でこう泡立てて…積んで…。バタバタしながら撮る、みたいな…。

野村:えええ。撮影スタジオみたいなすごいところで撮ってるんだと思ってました。そしたら表紙は毎号そんな感じで手づくりなんですか?

小野塚:あ、オーダーで作ってもらったのもあるんですけど、だいたいそうですね。これ(11号)なんかは吉田と2人で渋谷に行ってアイス買って、そのまま駐車場で。前もって用意しておいた帯をカップに巻いて「早く撮れ!早く撮れ!」とかやってて…。これはだから…後部座席です(笑)

酒井:あとこの4号目のは中野ブロードウェイの地下にあるアイスクリーム屋さんですね。階段の踊り場で撮ったっていう。

野村:思ったより…すごいアナログ感ありますね。

酒井:そうなんです。アートもそうなんですけど、基本的にデジタル合成よりもクラフト感を大事にしていきたいというのがありますね。

小野塚:全部パソコン上でやっちゃったら、作ってるかんじがしないというか。そもそも足で雪山に登って写真撮ってという、超アナログな事をしてるんで…。

酒井:そうそうそう。

●制作の流れ

野村:制作の流れについて聞かせてください。毎号動き始める前に編集会議みたいなことはしているんですか?

酒井:まあ一回くらいは…しますね。でもそんなに中身のある話じゃなくて、近況を話したりとか仕事の話をしたりとか。マガジンの話はたぶん5分くらい…。

小野塚:全体の流れで言うと、まずシーズン中に僕がどんどん撮ります。で撮り貯めたもの多少セレクトして酒井さんに投げるんです。すごい量です。

野村:まずは写真なんですね。

小野塚:そう。で、酒井さんが大枠の台割をなんとなく組んで、それをまたこちらに戻してもらう。それを見ながら僕が今度は写真の微調整をして…ていうのを何回か繰り返して、徐々に尖ってきてある程度形になったものを吉田に。そこから吉田がインスピレーションを感じたものでアートを作っていく。「これとこれとこれ、アート入れるから」という話をしながら、今度はアートを入れるの以外でまた微調整したり。最終的にアートを入れたものをはめてみて、完成。

酒井:おもしろいのが、やっぱり一枚の写真でも、それぞれの視点があって、これがかっこいいとかこれはちょっと違うんじゃないかという意見が3人とも違ってる。1秒間に数コマ撮れる、その0.何秒の差でこっちの写真がいい、いやこっちがいい、みたいな微妙なこだわりをみんなすごい持っていて、そこの議論は面白いですね。

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●撮影の話

野村:被写体になるライダーはどういう繋がりで声をかけるんですか?

小野塚:だいたいは僕がスノーボードの写真を撮り始めてからの16年くらいの間に知り合った仲間ですね。もちろん毎年若い子もどんどん増えているんですけど、友人の知り合いだったり、メーカーの仕事で撮影したライダーだったり、コンテストで目についたライダーとかも。僕のスケジュールで好き勝手に僕が撮りたいヤツを撮ってます。だいたいみんな仲間との繋がりで声をかけてるんですけど、毎年どんどん声をかけて撮影して発行していることで、ライダー側からもいい写真を撮ってもらえると思ってもらえて「今度撮影あるんですけど来てもらえますか?」とか、こっちの撮影でも向こうの撮影でも、お互いに声をかけ合える。シーズン中は仕事での撮影の合間を縫って色んなヤツに連絡してスケジュールを組んで撮影してますね。デザートマガジンでは自分のプライベートな時間で撮ってるのがだいたい7割くらいで、あとの3割が何かしら仕事を絡めたやつを、そのメーカーさんや主催者側の許可を得て使わせてもらってます。

酒井:やっぱり誰でも撮れるわけじゃなくて、ライダーとカメラマンとの信頼関係がないといい写真て全然撮れないんですよね。ライダーがどのタイミングでいちばんかっこよくターンするかとか、どこのライン狙ってくるかとか、ある程度コミュニケーションをとってお互いの信頼関係がないと、いい写真はぜったい撮れない。

小野塚:いいこと言うね。

酒井:ほんと、それはね。このカット(※13号 本チャプター上部。雪山でのライディングカット)とか、どこを当て込んでどのスピードで入ってくるかとかは、彼のスノーボーディングを知ってないと撮れないんですよ。

小野塚:僕の山の写真はこの星野俊輔というライダーが多いんです。彼とは結構付き合いが長くて、だいたいマンツーマンで撮影してますね。これは最初僕が撮ってる位置で2人で話してるんです。「こうきて、この月の溝の30mくらい下のこの膨らんでるとこあるでしょ。ここでターンしてもらいたいんだよね。」とか。たぶんこれを撮る10分くらい前ですね。で「わかった。このへんね。」って、ここでちゃんとターンしてくれてる。

酒井:ライダー的には、山を見る技術だったり自分がどのスピード感でどういうターンをすればかっこいいラインが入るのかということをちゃんと自分の頭に描けてないとできないんですよね。
別の視点で言うと、こういう山に行くと雪崩や遭難の危険性というものが常にあるから、そういう命の信頼関係ももちろん築けてないといけない、というのもあります。なのでまあ、山の技術も、山の知識や経験もちゃんとないと、こういう写真は撮れないんです。

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小野塚:僕はそこまで山岳カメラマンじゃないんです。山の撮影も好きなんですけどゲレンデの撮影や
特殊なロケーションの撮影も大好きで、ライダーも色んなタイプがいるんで。それぞれが活きるところを撮りたいんです。ちなみにこれは女性ライダーで(※11号 本文章上部)、この階段オレらが作ったんです。

野村:えええ!

小野塚:ホームセンターで材木買ってきて、潰れたゲレンデの麓で作ってみんなで持ち上げて、穴掘って設置して…。で、夜に撮影。

野村:すごい手づくりですね…!こういうことやろうよ、っていう企画はまずはどこから出てくるんですか?

小野塚:それはもう、滑り手発信、撮り手発信…てんでばらばらです。ライダーがローカルだと現地のセッティングができたりもしますし。あとは、廃墟とか、ちょっと書けないかんじのやつも…。

野村:ああ〜確かに…。

小野塚:たとえばコンディションが悪くてゲレンデだとあまりいい撮影ができない、っていうときもあるんですけど、天気悪いから何もしないというわけにはいかないんですよ。時間も限られてるので。だから滑り手とみんなでロケハンしながら、「あ、あそこどう?」とか「あれ廃墟じゃない?」「ちょっと行ってみようぜ」となったりして。でそのままもう「あの上からドン!ドン!ドン!って降りて来れない?」「わかった。やってみるわ。」みたいなかんじでバーッと撮って「次行こうぜ」とか。

野村:なるほど〜。そういうのはもうゲリラ的に行って撮ってくるかんじなんですね。

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小野塚:そうなんです。いきなり行ってすぐ終える。あ、これ(※10号 歩道橋でのカット)なんかはもう完全にヤバいやつですね…。これは国道沿いの歩道橋で…。警察来たら一発で持ってかれるやつです…。

野村:もはや時間との戦いですね…。こういうのはもう一回でキメるみたいなかんじですか?

小野塚:いやいやいや。これがまた大変なんです。ドキドキしながら…。日中はまだいいんですけど、夜はストロボとか投光器とかを焚かないといけないんで、けっこう目立つんですよね…。

野村:まあ、目立ちますよね…。

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小野塚:これ(※10号より。トンネルでのライディングカット)は夜中なんですけど、車道に雪をめっちゃ敷いて…。

野村:ここは車は通らない道なんですか?

小野塚:いや、通ります。僕は道のド真ん中にいて、ライダーの彼に無線で「今車来たからちょっと待って!」とか。

野村:普通に車通るんですね…。
ゲリラ撮影してて、怒られたこととかあるんですか?

小野塚:ぜんぜんあるんですよ…。ほんとに…。30代で子どもいるのに…。

酒井:警察と一緒にいる写真がインスタとかによく上がってます(笑)

小野塚:近所の人が通報しちゃったりとか…。けっこうな勢いで怒られます。でもすぐ帰るって言っておとなしく帰るので注意止まりです。故意に何かを壊したりしてるわけではないので。で、一回近くのファミレスで作戦会議して、「よし、じゃ2時間後にもう一回行くか」とか。あるいは夜中とか翌日とか。どうしてもやりたいんで。

野村:諦めないんですね。

酒井:アメリカのスケーターたちもそうですけど、横乗りのカルチャーのちょっと反社会的な部分というか。そこがまあ…かっこよかったりするんですけど。

小野塚:でも基本的にある程度の線引きがあって、”怒られる範囲内の場所”にしてます。この線超えるとアウト、というところのギリギリまででやってる。まあ、ギリギリなので、ケガも多いですよ。

野村:そうですよね…。

小野塚:階段でコケて頭ぶつけちゃって、10分くらい休憩してから「オレなんでここにいるの」って言い出したり。説明してもまた2,3分で「オレなんでここにいるの」って…。記憶飛ばしちゃって。

野村:それはこわい…。でも、それでもやらずにはいられないんですね。

小野塚:そうみたいですね。ライダー達は本当にスゴイです。

野村:何というか…。作る側の姿勢がとてもフリーペーパー的で嬉しいです。

酒井:スノーボードをライフスタイルとして好きな人が見てももちろん、全然スノーボードに興味がない人が見ても、あ、スノーボードってかっこいいんだな、ってちょっとでも感じてもらえたらいいなと思って。

野村:それはもう、すごい感じます!

立ち上げエピソードから撮影裏話まで、ワクワクしっぱなしの前半でした。それにしてもお二人、本当にスノーボードへの思いが溢れております。さらっとかっこ良く、なんかではなく、もうアツ苦しいくらいのスノーボードへの思いで作り続けていることが伝わってきます。そしてマガジンを無料で発行し続けることへの思いやこれからのことなどのお話が飛び出す後半へと続きます!

text・interview 野村(ONLY FREE PAPER)
photo 野村(ONLY FREE PAPER)


2016-09-25 | Posted in OFP STAFF, インタビューNo Comments » 

 

インタビュー #1 「tentonto」(後編)

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前半に触れられていた、「何も知識のない0の状態を1にする」ための様々なアプローチ。その裏にあるのは「このフリーペーパーが自分の夢」と言い切れるほどの想いでした。

『ASD & ADHD Magazine TENTONTO』

発達障害への理解を広めることを目指して、2014年に創刊。
約4ヶ月おきに発行され、現在no.5まで配布中。
今回お話をうかがったお二人が立ち上げ人。
タイトル「テントント」は、「テント(発達障害当事者には、テントのような狭い場所を好む人が多いことから)」と「トント(スペイン語でバカを表す)」組み合わせたもので、「テントバカ」という意味。
http://tentonto.jp

●当事者・非当事者、それぞれから見る「テントント」

非当事者同士の人間関係の中でも共感を覚えるこのフリーペーパー。
一方で、このフリーぺーパーが当事者に向けて発信しているもの。
両方の視点で読む「テントント」

橋爪:テントント自体は、「発達障害当事者とその周辺の人が、理解を広めよう」ってテーマでやられていると思うんですけど、当事者でもないし、周りにそういう人がいるわけじゃない私でも、すごく共感を持てる部分があるなって感じました。そういう読まれ方はもともと狙って行ったものなのか、予想外のことなのか。

原:それも狙ってましたね。

橋爪:やっぱり狙ってるんですね。

原:僕も、当事者じゃないんで。

ユミズ:まったく、違います、はい。

原:同じ部分と違う部分っていうのがあって、違うって言ってもやっぱり同じところも結構あるってことを、ちゃんと知ってほしい。知らないからもう知らないみたいな分け方じゃなくて、知って、ここまでは一緒だけどここからは違うなとか。でもそれって本来、他人と自分って、絶対そういうところってあるじゃないですか。その延長っていうと、ちょっと語弊あるんですけど、知らないでいると枠から外れちゃうんですけど、知ってるってことによって、なんだろう、もっと仲良くなったらいいな(笑)って思うんですよね。

あと、これはタキス君のいろんな苦労したっていう話を聞いて、思ったことなんですけど。世の中ってまだまだ、どこまでが怠惰で、どこからがその人のどうしても出来ないことなのかっていうのをちゃんと分かっていない人が多い。それが、その人がどうしても出来ないことに対して、できるようになれっていう圧力を生んでしまうと思うんですね。そういう状況を見て、どうかな、と思ってて。そういった意味でもいろんな人に知ってほしいですね。やっぱりその自分では当たり前って思ってることが、他の人にとっては当たり前じゃないってことも多くて、できることとできないことって人によって全然違うので、そのあたりも知ってほしいなっていうのがありましたね。

ユミズ:変わらない日常を大事にする人(当事者)が、変わらなきゃいけない圧力を感じながら、ちょっと重苦しくなることもあると思うんです。そういう人たちがテントントを読んで、少し楽に、自分と向き合い始めてもらえるようになれば、っていうのかな。

橋爪:私はテントントを、当事者でも当事者周辺でもない、外側からの読者っていう視点からしか読むことができないので、当事者・当事者周辺からは、どういうリアクションがあるのかを教えていただきたいです。

ユミズ:自分やご家族と照らし合わせて考えられる方が多いですね。視点自体が明るいところも、今までになかったからいいなって思ってくださる方がいます。この活動・フリーペーパーがあることですごく助かってますって言ってくださる方もいます。本当にありがたいことです。

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●テントントが発信するもの、「センサリーデザイン」

「センサリーデザインのある日本の未来を」
キーワードから読み解く、「テントント」の発信の姿勢

橋爪:このフリーペーパーを読むうえで、「テント」「センサリーデザイン」「感覚の違い」って3つがすごい重要なキーワードだなって思ったんですけど、このキーワードが設定されるまでにはどういう過程があったのかっていうのを教えて下さい。

ユミズ:冊子を読み返していて、「センサリーデザインのある日本の未来を作りたい」っていうのを、すごく言いたいこととして持ってるな、って改めて思いました。発達障害を持ってる人たちって、ストレスが溜まりやすい人たちだと思うんですよ。そういう人たちが少しでも楽に暮らせるように、生活を変えたり、生活のスタイルを変えたりするっていうようなアイディアが、センサリーデザイン、「個人の感覚から発した設計」ってことですよね。

引っ越したすぐの家って、そんなに心地よくなかったりするじゃないですか。自分用にカスタマイズすると思うんですけど。それの延長線上で、そういう考えだったり、行動だったりができる人がいたらいいなって。

発達障害の方全般に言えることですが、変化が苦手な人たちなので、環境を変えた方がいいのに、渋ってる人も多いっていうのかな。「変化を恐れない」っていうのを伝えたくて、それが冊子の見た目にも繋がってるかもしれないんですけどね。

「個人の感覚に端を発してる」「変化を恐れない」っていうのと、もう1個すごい大事なのは、「変化に対して真摯に向き合う」っていうのかな。とりあえずドカドカっと変えちゃって、結局居心地が悪くなったりとか、意見を聞いてあげなかったりすると元も子もなくなってしまうので。テントントの特色として、楽しい感じにしてるとはいえ、少し真面目というのかな。そのちょっと堅い部分は、変化ってゴリ押しでいくものでもないんだよっていうのを意識しています。

原:僕のデザイナーとしての観点から言うと、センサリーデザインという言葉が結構魅力的というか。本来デザインって今言われてるようなことよりもっと、パーソナルなものだと思ってて。「センサリー」っていうのって、発達障害を持ってる人だけじゃなくて、程度は全然違いますけど、どの人間に置いても、こういう触覚が嫌とか、黒板ひっかく音が嫌だとか。そういう小さい積み重ねがそれぞれ個人においてストレスだったり、嫌だったり、付いて回るものなので、そういった意味でも、デザインやってく上ですごいその「センサリー」っていうのは考えるべきものなんだなっていうのは思いますね。発達障害を持っている人って100人に1人ぐらいなんですけど、「デザインは、ちゃんとそっちを担わなきゃいけないんだな」っていう感じだから、そういうものを伝えたいっていうのはありましたね。

ユミズ:「テント」に関しては、「セーフヘイブン」って言葉で、すごい、海外で今言われてるんですけど。

橋爪:へー。

ユミズ:安全なヘイブン…。要するに避難場所ってことですかね。遮断されたような場所とか。気持ちを落ち着かせたり、考えを整理したりとか、するための場所。そういう風な一角を部屋に設けるっていうことを、デザインの設計事務所がやっているって認知も全然ないと思うから、知ってほしいです。

家に帰ってからのストレスを溜めないようなものがすごい求められてるんじゃないかなって。特に過集中なので、すごい無心になんかやったりするんですよ。だから、それで疲れちゃうよりは、落ち着ける場所があったらいいなっていう提案ですね。

原:逆に、どこも落ち着けないんですよ、世の中。

橋爪:ああ。

原:だからこそどこかに、自分のプライベート空間ぐらいには、落ち着けるところが必要だっていう。

ユミズ:最初の一歩として、それが大事なんじゃないかってことですね。

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●創刊から現在まで。メンバーの変化が意識の変化

現在5号までを発行。
作り手が変化していきながら、「ポイント」を探している。

橋爪:号を重ねるごとに、創刊号の時から意識の変化ってありますか?

ユミズ:メンバーの変化が意識の変化でもある感じですかね。メンバーが、テントントの内容に理解を深めていく中で、自分やご家族と重ね合わせて、例えば、「このせいで自分の妹と喧嘩したのか」とか。そういう気づきが入ってるところもあるのかな、とは思いますし、入れていきたいですね。それが入ってこそ、中身の濃い冊子になっていくかなと思っているので。頭でっかちな感じで、私一人の頭の中でやっていたようなことが、より複雑に多様になっていってるのかな、とは思います。

原:結構客観と主観の間を行き来してる感じがしますね。最初はただただ客観的で。

ユミズ:そうですね。

原:それが今は、より狙ってるというか。間を行き来してる。ポイントを探している感じがします。

ユミズ:より、個人に根ざしている感じはします。メンバー間での雰囲気作りができてるってことかな、とも思ってます。私たちは、日常、なかなか同じような感覚を共有できる人がいないので、その分メンバー間で話し込むことも多くて。仲が良く。だからこそできることもありますね。

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●「このフリーペーパーが、自分の夢」

「0から1にする」それが叶うメディアだからこそ「やると決めた」

橋爪:フリーペーパー発行を続ける上での資金のお話を、お答えできる範囲で教えていただいても大丈夫ですか。

ユミズ:メンバーの方には、協力していただいている分、金銭面で協力してもらうのはおかしいと思っているので、完全に発行人である私の能力で発行している冊子で、それにプラスとして、本当にいいと思ってくださった方にご協賛いただく、っていうことでやっています。そうですね、確かに課題だとは思うんですけど、個人的にはもう、やると決めたっていうか。自分の意思、夢なんですよ。それを叶えるっていうことに一番直結しているものなので、金銭面に関して、ネガティブなイメージは持ってないですね。

広告は今現在も募集してるんですけど、広告だよりになってもなーってところもあるから。どうなんでしょう。まあ、私がいれば続けていくわけですから。そういうところで、納得してるっていうか、頭悩ませてるって程ではないですかね。

橋爪:「このフリーペーパーが夢だ」って言いきれるのはすごいことですよね。

ユミズ:0から1にするってとっても労力がいるものなので。それが叶うメディアとしてやっていて、すごい力を持ってると思います。ご協力いただいている店舗さんが今二十何店舗ありまして、ご協力いただいてるってことの方が奇跡みたいに感じています。自分ができることはやっているけど、それを超えて、皆さんにありがたがってもらえるっていうのはすごい嬉しいし、ありがたいことです。

「テントント」の中身を通じて伝えたいこと、そして、その中身をどうやって発信していくか。インタビューを通して、その2つが少しだけ見えてきたような気がしました。
真剣な言葉、少しくだけた一面、そして最後にこのフリーペーパーにかける熱い想い。
そんなお二人が映し出されたかのようなフリーペーパー、「テントント」を、私はこれからも読者として楽しみ続けたいと思います。

text・interview 橋爪(ONLY FREE PAPER)
photo 奥山 (ONLY FREE PAPER)


2016-06-18 | Posted in OFP STAFF, インタビュー2 Comments » 

 

インタビュー #1 「tentonto」(前編)

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様々なフリーペーパーが並ぶ中でも、パッと目に飛びこむ黄色い表紙。線画のイラストに惹かれて手に取ってみると、未知の情報がつまった紙面が、読者に思考のきっかけを与えてくれる。「真面目な題材をポップに伝える」そんな魅力はどうやって生まれるのか?

編集長のユミズタキスさん(タイトル画像:左)とデザイナーの原裕也さん(同:右)に、新人スタッフ橋爪がお話をうかがいました。

『ASD & ADHD Magazine TENTONTO』

発達障害への理解を広めることを目指して、2014年に創刊。
約4ヶ月おきに発行され、現在no.5まで配布中。
今回お話をうかがったお二人が立ち上げ人。
タイトル「テントント」は、「テント(発達障害当事者には、テントのような狭い場所を好む人が多いことから)」と「トント(スペイン語でバカを表す)」組み合わせたもので、「テントバカ」という意味。
http://tentonto.jp


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●「テントント」創刊のきっかけ

大学の同級生同士で共有していた思いが、フリーペーパー文化と結びついて「テントント」という形に。
そんな、創刊までのエピソードと、創刊時から今に通じる「伝えたいこと」

橋爪:お二人の出会いと、テントントとしての活動を始めたきっかけを教えてください。

ユミズ:大学が同じです。この活動を始めたきっかけとしては、私は小さい時からASDやADHDの診断を受けていた人間ではなかったので、まだ知らなかった状態から、自分のことをちょっとずつ分かってきた時に、やりたいこととして、自分も当事者だけど、支援活動のようなことをできたらいいなって思って。特に立ち上げの時にサポートしてくれたのが原くんです。

原:最初に彼が、アスペルガーを持っているってこと自体を聞いてもよく分からなくて、やりとりしていく中でだんだん分かってきたことが自分の中で驚きというか、今まで全く頭になかったところだった。それまでは、ちょっと変わってるなとかその程度にしか思ってなかったことが、彼との関わりによって発見があったので、それをシェアしたいなっていうのがあって。

橋爪:てっきり、活動をしてて、そこに賛同、みたいな感じで始まったのかなって思ってたんですけど、そういうんじゃないんですね。

ユミズ:本当に1号の時は、身内っていうか、そんな感じで始めましたね。

原:この表紙描いてくれた人も、別にいるんですけど、そいつも大学が一緒で、3人集まった時に何かしたいねって話になって、ちょうど、僕とタキス君が発達障害についていろいろ考えている時だったので、それをテーマにやっていけばいいんじゃないかっていう話になって。

ユミズ:じゃあ1番に渋谷のパルコ(のONLY FREE PAPER)に行ってみなよって(表紙の絵を描いてくれた)そいつから言われて、こういう、ZINEの文化があるんだなっていうのをその時知りました。

橋爪:じゃあ、テントントを創刊する前から、フリーペーパー自体に興味を持っていたわけではなくて、たまたまこの表紙の絵の方が教えてくれて。

原:僕は全然(フリーペーパー・ZINE文化について)知らなかったです。

ユミズ:僕も全然。表紙の絵の彼がかなり詳しくて、ピンと来たみたいな感じで、教えてくれたんですけど。

橋爪:表紙のイラストの方がすごいフリーペーパーに詳しいっていうのと、お二人のところにあった「発達障害をもっといろんな人に知ってもらいたい」っていうのが、たまたま結びついて始まった感じですか。

ユミズ:そうですね。

橋爪:フリーペーパー発行に至るまでの問題意識のようなものを教えてください。

ユミズ:僕自身が、発達障害を持っているから上手くいかなかったことっていうのに全然自覚がなくて、客観的に見られていなかった。特にちっちゃい時は、自分で環境を変える力がなかったので、自分の部屋を、すごく気の散る部屋にしちゃってたんですよ。自分の特性を客観的に見て、それに合わせた環境をつくっていくようなことが、もっと知られていれば、もうちょっと居心地の良い場所で過ごせたんじゃないか、ってことを考えて。それが実際に、「センサリーデザイン」という言葉で、イギリス発で実践されているのを知って、日本の方にも伝えたいなって思って始めたのがこのフリーペーパーです。

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●フリーペーパーであることの価値、「もの」の力

フリーペーパーという形でなかったら、「テントント」に出会わなかった人たち。その一人として気になる「なぜフリーペーパーなのか」

橋爪:「発達障害への理解を深める」っていう目的のために、フリーペーパーじゃなくても、例えばwebで発信とか、最近だったら、ユースト番組とか、YouTubeで動画配信とか、あると思うんですけど、わざわざフリーペーパーを選んだ理由って。

ユミズ:えー、ユースト配信、やりました。

橋爪:あ、やられてたんですね(笑)

ユミズ:まずは身近な所からということで、私と原で、ほぼ毎日やってたんですけど。

橋爪:毎日! すごいですね。すごい(笑)

ユミズ:毎日(笑)

それもやりつつ、例えばいきなり「自閉症」とかの専門用語でYouTubeを検索してくる人がどれくらいいるかってことを考えて。

橋爪:確かにあんまりいないかもしれないですね。

ユミズ:それでなんかできることないかなって時に、先ほどお伝えしたようなきっかけで、フリーペーパー・ZINEのことを知って、それでやるようになりました。

Webページもやってまして、あくまでフリーペーパーのサポート的な立ち位置のつもりだったんですけど、毎日やらないと続かないんだろうなーとか、思いながら、あげています。Webコンテンツを作ることが、(ASD・ADHDについての情報を)いろいろ調べるモチベーションにもなりますし。

原:あと、冊子とWebの違いって、やっぱり、出会い方の違いというか、Webから入るのと、街角でパッと目に入って見ていくのだと、導入が違うと思うんですね。

橋爪:そうですね。

原:やっぱり、こういった冊子でしか出会ってくれない人って、絶対いると思うんで、そういった意味でもこれからもどっちも続けていきたいって思ってます。

ユミズ:そうですね。やっぱり、webにも全部公開して読めるようにはしてるんですけど、それを見た上でやっぱり冊子が欲しいって言ってくれる方とても多いし、やっぱりこう「もの」の力っていうのかな、やっぱり、「冊子がある」っていうのって、価値のあることなんじゃないかなって思います。

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●0から1に 「まず知ってもらいたい」

先入観をなくすこと。取っていってもらうための工夫。
伝わってくるのは、「気づいて欲しい」という想い

橋爪:このフリーペーパーをパッと見た時に、表紙の情報量少ないなって思うんですけど、雑誌の表紙って、例えば、「特集:テントが大好きな人たち」コーナー名、みたいにいっぱい書いてあるのとか、よくあると思うんですけど、あえてこの少ない情報量にしてる理由ってあったりするんですか。

ユミズ:そうですね、デザイナーの意図からすると、「発達障害」っていう言葉の強さってあるじゃないですか。その強さが目を留めるきっかけになるってこともあると思うんですけど、その強さではねのけてしまう人もいるんじゃないかな、なんてことを思いまして、それを加味しています。紙の中で、情報量は少ないけど、おっ! とは思ってもらいたいみたいな感じですかね。

原:先入観を持って読んでほしくないというか、まずは読んでもらわないと分からないことなので。最初っからぎょっとさせるよりも、よくわかんないけどなんかありそうだなって感じのもので。別に、なんだ、出しといてあれですけど、すごい読んでほしいってわけじゃないんですよ。

橋爪:ああ〜

原:こういう感覚に合った人が来てくれればいいかなって思ってて。従来の医療系の雑誌でもないので。読む方も構えなくてもいいような感じにしたかったっていうのはありますね。

ユミズ:現状、問題があるよーぐらいまでは、取り上げられているんですけど、本当にどういう人達なのかまでは知られていない。100人に一人ですからそんなに多くないとはいえ、120人の学年だったら一人はいるわけで、そういう人がいるっていうところを、知らないよりは、0よりは興味を持っていただけたらなって。

冊子の中身は、結構濃いと思うんです。知らないから面白いっていう情報は結構入ってて。それは、当事者にも言えて。当事者も興味の幅が狭いから、少しは視野が広くなるきっかけになっているのかな、と思います。

原:紙面に取り上げている内容について、知ってほしいは知ってほしいですけど、どれくらい知るかっていうのは、読み手の理解力もありますし、こちらの伝え方の問題もあるので、だから、気づいてもらえれば、まずいいっていうのがあって、その中でどれくらい理解してるかっていうのは、僕としてはそんな気にしてないです。

ユミズ:原が言っているように、「頭に入れてほしい」っていうのが結構、核心をついていて。色々な風に捉えていただきたいですし、いろんな風に捉えていただきたいから、まず知ってもらう、っていうところに最終的になるのかな。

原:中身に関して言うと、結構いろんなアプローチをしていて。というのも、やっぱり、どれかのコーナーに、誰かが引っかかってくれるんじゃないか、っていうのがあって。全部が好きとは言えないかもしれないけど、このコーナーは好き、みたいなのが、一つぐらいはあればいいな、って思って。そう言った意味でも、バラバラ…じゃないけど。

ユミズ:実験的な。

原:製作メンバーそれぞれの性質を活かして作って、かつ、メンバーの性質が、読み手の誰かに共感してもらえたらいいな、と思ってます。あと、その時は読んでも分かんなかったけど、一回これを知ったことによって、日常生活で、何かしら気づきがあって、改めて読んでそういうことだったのかって思うようなのがあってもいいと思う。そのためにもとりあえずまずは知ってもらいたい。知ってもらうっていうか、頭の隅に入れてもらいたい。

ユミズ:取っていってもらわなければいけない。

原:そのための(とっかかりとして)、(デザインなどの)かっこよさはありますね。あと単純に言うとダサいのやだったんで。ダサいのばっかりだったんで、自分たちがつくるものは、ダサいのやだなって(笑)

橋爪:「ダサいのやだ」ってすごくいいと思います(笑)

原:ダサいものを駆逐したい。

橋爪:ダサいものを駆逐したい(笑)

さっき、「手に取ってもらうのがまず大事」っておっしゃっていたと思うんですけど、「テントント」っていうタイトルがまず、リズムの良さとしっかりした意味を兼ね備えていて、すごく良いタイトルだなって思いました。

このタイトルってすぐに思いついたんですか?

ユミズ:タイトル考えたのは私かな? 発達障害持ってる方って、得意不得意がすごくばらつくんですが、私もばらついている中で、言葉は結構得意なんです。だから、例えば「トント」って言葉があって〜、みたいな情報が、いっぱい頭に入っているので、そういう部分がもしかしたら命名に活かせているのかなって。

原 : 命名の流れを言うと、「テント」いいよねっていうのがあって、テントテントとか言ってて、テントテントはどう?みたいな話をしたりしてて。

ユミズ:「トント」はバトルスっていうバンドの曲名からとってて。その「トント」の PVでモチーフに なっているインディアンの、どこか野生的なイメージが、 ASDやADHD当事者に感じる動物的な部分と 重なる、っていうようなことを、一瞬で、パーって思いついて、「テントント」になりました。

原:個人的に面白いなって思ったのは、インディアンて、ネイティブアメリカンなんですけど、白人から見てバカって思うだけであって、本当は誇り高くて。お前らバカって言ってるけど、それは知らないからバカって思えるだけで、本当はそうじゃないっていうのが、結構言い当ててる感じもあるんですよ。

橋爪:なるほど。

原:タイトルを決めるのは、タキス君がいたから楽だった。

ユミズ:長所を活かしあいながらですね。

「テントント」にこめる想いを語る中に、くだけた一面が見える場面も。
そんな様子は、このフリーペーパーが持つ空気そのままのよう。
読者からのリアクション、創刊から現在までの変化など、インタビューは後編へ続きます。

text・interview 橋爪(ONLY FREE PAPER)
photo 奥山 (ONLY FREE PAPER)


2016-06-15 | Posted in OFP STAFF, インタビュー2 Comments » 

 

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