松江健介

他人と屋上とそらと 〜インタビュー 特別編〜



フリーペーパー好きの方々なら『他人』というフリーペーパーの名前を聞いた事があるかもしれない。

おおよそ4年前、突如として配布された謎のフリーペーパーは、その内容から瞬く間に評判を呼び、界を賑わせた。
長きに渡る沈黙の後、もう終わってしまったと思われていた昨年、待望のvol.2が発行された。
その内容も正に圧巻で、vol.1を更に煮詰め凶暴にしたような強烈さだった。vol.1が大好きだった僕でさえ、一度に全てを読み終える事が出来なかった。半分ほどを読み終えた時点で、いつの間にか胸焼けのような眩暈のような、そんなどことない体の異変にすっかり支配されてしまった僕は、一度誌面から視線を外し一息置いてから何とか最後まで読み終える事が出来たのだった。

さて、そもそも『他人』を知らない方はここまで読んで、何がそんなに強烈なんだとお思いのことだろう。



そもそも『他人』とはどんな内容のフリーペーパーなのか。
ざっくりと説明してしまうと、《あかの他人に対し、アポなしの突撃インタビューを敢行するインタビュー誌》ということになるだろう。
このコンセプトだけでも十分に何やら只者ではないという印象を受けるが、それ《だけ》と言えば《だけ》なのだ。
シンプルで洗礼されたデザインを持ったタブロイド誌というアウトラインは、読者に気持ち良い読書体験を提供する手助けを担っているということは明白だが、基本的にコンテンツはインタビューのみだ。

それでは、何がそこまで強烈なのか?

ここからは、今回お話を伺った『他人』の発行人であるマジで株式会社代表取締役の西井さん(名刺が分厚かった方の人)とアシスタントデザイナーの加藤さん(名刺が薄かった方の人)のお話を交えて進めていきたいと思う。
なお、今回の取材は、マジで株式会社が拠点としている名古屋で行わせていただいたが、共に名古屋を拠点としているフリーペーパー『屋上とそら』の堀江さんと岩井さんを交えたオープンな雑談形式で行われた。










左より、他人編集部・加藤さん、屋上とそら編集部・岩井さん、他人編集部・西井さん、屋上とそら編集部・堀江さん


僕は、『他人』を人に紹介する際によく《短編小説やあるいは哲学書を読んでいるようだ》と形容させていただいている。
vol.1でインタビューを受けていたおばあちゃんのインタビューには、生きること(生きてきたこと)の重みや、物語性が多分に含まれていた。生々しく、荒々しく、そしてどこまでもある種のエンターテイメントだった。
この部分を西井さんにお尋ねしたところ、「完全にノンフィクションですね。尺を削りはしますが、編集はほとんどしていません」という。これには、僕も堀江さんも驚いた。そんな都合良く良物件が落ちているものなのかと。更にアウトテイク的なものは特になく、一発一中だそう。
「やはりガチ凸の取材は断られる事が多かったんですが、そんな中、向こうの方から『私を撮って〜』と手を振って走ってきた人がいたんですね。それがvol.1のおばあちゃんです」という。



vol.2のおじいちゃんに関しては、公園の大きな桜の樹の下で2ℓのペットボトルにフル充塡された酒をラッパ飲みしていたところを捕獲されたそう。その光景に圧倒された西井さんと加藤さんがこの人しかいないと取材交渉に移ったという。
桜の樹の下には屍体が埋まっている代わりに、ペットボトルごと凍らせた酒をラッパ飲みし更にはその未知の飲み物らしき物体を人に薦めてくるおじいちゃんが仁王立ちしている、これが中村公園だ。…名古屋市、大丈夫だろうか…。
「酒と一緒に持っていたモツ煮(のようなもの)を薦められて、せっかくということで食べてみたのですが、、、(汗)」と加藤さん。
「あ、これか(笑)」と堀江さんが見るvol.2の裏表紙のおじいちゃんの足元には、緑色の何かが沈殿しているように見えるもつ煮(のようなもの)が確かに鎮座していた。

足元には割り箸が刺さったままのもつ煮(のようなもの)


取材は毎回壮絶を極めるそう。
「軽くインドに行って帰ってきたような感覚になります…」そう仰る他人編集部のお二方の苦笑いは、
苦9:笑1の比率で構成されていた。そして、名古屋市内に広がるインドからの帰路、ドライブのお供はいつだって重厚な疲労感だそう。
しかし、彼らの足はまた聖地巡礼の旅へと向かう。
一体何が彼らをそこまで掻き立てるのだろうか。

ここで、一旦遡り、そもそも何故このようなフリーペーパーを発行するに至ったのかという部分を伺ってみた。
元々バンドマンだったという西井さんは、その頃から自身の考えや思いを何かしらの形で表現していくことが自身の一部であったのだろう。
(マジで株式会社では、出勤してから哲学や宇宙の話をしていたらお昼になっていたというお話も…)

バンド解散後のある時期に、その矛先はまちづくりに向かっていったそう。
「5年ほど前にSYNCHRONICITY NAGOYAというまちづくりをテーマにしたコミュニティを立ち上げて活動していました。そこでは“街づくりとは人づくりだ”というコンセプトで人の自己実現をベースにいくつかのプロジェクトが立ち上がっておりまして、その中の一つがフリーペーパー他人でした。ライターになりたい夢を持ったメンバーと共に、その夢を少しでも実現するために何か形にしたいと立ち上げたのがきっかけです。」
始まったプロジェクトはその後頓挫してしまったそうだが、『他人』のプロジェクトは捨てきれず、ご自身が立ち上げた会社で引き継いだそうだ。



インタビューというものは、取材対象の話で成り立つもので、記事の書き方によって必ずしもそうでない場合もあるにせよ、基本的には取材対象が主体になっている。しかし、『他人』というフリーペーパーを初めて手にし読んだ時に《取材している側》の強烈な主体を感じたのだ。
このフリーペーパーの本編は100%インタビューのテキストで構成されている。すなわち、今僕が書いているこの記事のような構成ではない。本来ならその形式では《取材している側》というのはとても中立的で居て、無色なはずなのだが。
しかし、お話を伺っていくうちに何故《取材している側》が顔を覗かせるのか、そのカラクリが見えてきた。
それは、成り立ちのエピソードでお話してくださった「自己表現をベースとしたプロジェクト」という部分がその一つであると考えられるし、更にはこんなお話もしてくださった。
「ここに収められている事の全ては取材班の僕ら目線で行われているものであることに間違いありません。
フリーペーパー他人にとってのあかの他人は私達編集者や読者様となります。そういったことを哲学することで、人間と人間の境界線みたいなものを考えるひとつのきっかけが、このフリーペーパーと出会った人たちの“無意識”を刺激してくれたらとても嬉しいです。」



ふと気がつくと西井さんの横に座る加藤さんの口数が少なくなっていることに気がつく。
「さっきもつ煮の話をしたら、あの時の記憶が蘇ってきて、、、」と加藤さん。顔色がすぐれない。いや、すぐれないというよりも例のもつ煮(のようなもの)の緑色に近づいてきている気もする。おじいちゃんの求心力が如何程だったにせよ、朝起きたらもつ煮になっていました、なんて話は流石のカフカでさえも笑ってくれないだろうから、ここはひとつ加藤さんの無事を願って先に進めるとしよう。
そんな加藤さん、このインタビューの当日、西井さんよりも一足早く現地に到着していたので先行して少しお話を伺っていたのだが、実はvol.1の製作には関わっていなかったという。であるならば、社長(西井さん)の到着を待ってから色々お話を伺おうと逸る気持ちを一旦しまい込んだが、この部分こそが、『他人』の発行間隔が酷く空いてしまったという部分のお話に関連していく。
前の晩にそわそわして眠れずYouTubeを見過ぎて遅れた社長(西井さん)のお話によると、vol.1を製作し、順調にvol.2のインタビューを取り終えたが、その後にコアメンバーが抜けてしまってそれから『他人』の製作は鳴りを潜めてしまったという。それを救ったのが何を隠そう、もつ煮になりかけている加藤さんだったそう。
「加藤くんがやるって言ってくれて、『他人』がまた動いた感じですね」という西井さんはなんだかとても嬉しそうだった。
ちなみに世に出ているvol.2は加藤さんと全く新しくインタビューしたもので言わばvol.3、本来のvol.2はデータがどっか行ってしまったというこぼれ話もしてくださった。
そしてここで、『他人』の読者には一つ朗報を持ち帰ったので共有しておきたい。オフィシャルリリースのvol.3が近日中に発行されるのだ。そして、そのインタビューは既に録り終えているそう。その情報を耳に入れたのは、このインタビュー終盤のことで、すっかり「彼らのビジョンの今後がもっと見たい!」と思わされてしまった後の事だったので、僕らは尚更それを喜んだ。
そして、それは今までとは少し違う“チャレンジング”な内容になると言う。もちろん基本的なコンセプトは従来通りなのだが。
「今度のやつは色々な意味で読者が試されると思います」と不敵な言葉を残した西井さんは少し誇らしげであった。それだけでも今回の仕事がとても満足のいくものだったのだろうと想像に容易い。

“仕事”??
これって仕事なの??
そもそもフリーペーパーでしょ?広告入ってないんでしょ?お金どうしてるの?

フリーペーパーについてあまり詳しくないけどここまで読んでいただいた方(本当にありがとうございます!)はそろそろこういう類の話を欲しているのではないかと思う。
フリーペーパーは、日本語に訳すと無料誌だが、自由誌とも取れる。形・装幀はもちろん、発行に至る動機や発行元、流通の仕方、内容、全てにおいて定型は無い。「広告で成り立っているメディア」という認識が多くの人の中に根付いているのだろうが、それは解であり解でない。《あくまでそういうものもある》というくらいがいいところだろう。何度も言うが自由誌であるので、一つの定型に収まるものではないのだ。
では、そういうことならば、『他人』とは一体なんなのか?

結論から言わせていただくと、『他人』は一つのアートプロジェクトだという事だ。西井さんが持ち続ける内(自己)と外(他者)を徹底的に考察し哲学していくこと、そしてその先にある内と外との邂逅、さらにそこから創造される新しい内および外、循環、輪廻。インスタントな世の中では、他人とのコミュニケーションはおろか、SNSに夢中で自己との対話もままならない。そういった現代に対する西井さんなりの一つの表現が『他人』だったのではないだろうか。そしてこの仮説によって炙り出されたものの中で特に注目したい点は、アナログメディアである《紙》で表現することの明確な必然性だろう。

「紙が好きだから」
なぜWEBではなく紙なのか?という質問に対する回答として多くのフリーペーパー発行者さんが答えてきたものがこれだ。そして、これ以上清々しく美しいものはおそらく存在しないだろう。最高のセンテンスだ。
しかし、掘り下げていくと、好きだという感情の裏に隠れがちなそれぞれの《紙でなければいけない理由》が存在しているものなのだ。逆に言ってしまうと、この《紙でなければいけない理由》が存在しない紙メディアは結果として非常に弱くなってしまうことが多い。

西井さんは『他人』が、《紙でなければいけない理由》をこう語ってくれた。
「携帯する事にも適さない、置き場所にも困る、さらに大きな誌面に文字がぎっしりで読みづらい、持っていて邪魔になる、という特性を詰め込んだタブロイドサイズにしているところに、特にその理由があります。
人の人生を垣間みる、人に共感する、人の気持ちに寄り添う、自分以外の人、特にあかの他人に接触してコミュニケーションをとるという行為そのものが、現代ではとてもエネルギーを使う行為だと思うんです。
面倒だから本当はそんなことしたくないって普通だったら思ってしまうし、だからこそ楽な方へ、楽なコミュニケーションへと流されてしまいがちになる。
でも、その面倒を打ち破るほどの他者への愛情を持ってそこへ飛び来んだときに、逆に自分が満たされる感覚になるんです。
その体験、その感覚を少しでもこのフリーペーパー『他人』には宿したいという理由で、
自分以外の人に寄り添う“面倒臭さ”を“思うようにならなさ”を表現するには、この紙という媒体が一番適しているんです。
だから、フリーペーペー『他人』がある意味“便利”になってしまうと本質からズレてしまうのです。」

『他人』と(わざわざ)面と向きあう事でしか生まれようのないモノやコトが存在し、それを様々な人に感じて欲しい。そんな思いを文字通り体を張って収穫してくる戦士こと他人編集部。
そんな戦士たちの戦いの記録は、度々《読書会》という形でイベントに昇華されているという。しかもそれは、彼らが主催しているわけではなく、読者の皆さんが自発的に催しているという。
《インタビューに対する読書会》なんていうものを今まで聞いた事がなかったので、これには本当に驚いた。と同時にあってしかるべきだと思ったし、参加したいとさえ思った。
新刊が発行された際は、是非開催したいものだ。



ここまで、『他人』を取り巻く環境やこれまでの歩みを、伺ったお話を元に綴ってみたが、肝心の内容にはほとんど触れていない。
その点に関して、ここで語るのはあまりにも野暮であるし、やはり手に取って読んでみて欲しいと思うからだ。そして、読んだあなた自身が何を感じるかがとても重要なポイントなのだ。おそらく誌面に登場するおじいちゃん・おばあちゃんは《たまたま》そこに載っているのであり、もっと抽象的な概念のようなものなのだ。『他人』を前にし、『他人』の話を聞き入った先に何かを見るのか、はたまた何も見ないのか、あなた自身がその経験を大事にして欲しいと思う。

※フリーペーパー『他人』は、ONLY FREE PAPERでvol.1(残り僅か)、vol.2共に配布中。近日発行予定のvol.3ももちろん配布予定ですので、是非お手に取って見てください。



—ロケ地について—
今回のロケは、この夏オープン予定のHORIE BLDGで行われました。
記事内にもご登場いただいた屋上とそら主宰の堀江さんが新しく作るオープンスペース。
1階には喫茶店『RIVER』と当店『ONLY FREE PAPER』の名古屋店が入居し、2階はギャラリーなどに使用できるオープンスペースになります。3階には堀江さんも所属するデザイン事務所『RADICAL』の事務所。
そして、全館に渡り『NA』という名古屋初のブランドを展開していきます。
ロケーションは、名古屋のウェッサイ、名古屋駅西口から約5分。
正式な発表は、日程が決まり次第行います。乞うご期待下さい。



《お詫び》
のんびりとこちらの記事を書いている間に待望のvol.3が発行されました。
他人編集部が口を揃えて語ってくれた事が半分わかるようで、半分はどこか肩透かしを食らったような不思議な読後感を味わいながらこの文章を仕上げています。これが彼らのいう「読者が試される」という事なのでしょうか。
とはいえ、『他人』が持つ一筋縄ではいかない重厚感はそのままに、と言いますか更に増しているような気がします。
そして、今までで一番の配布率です。(品切れにより追加発注中入荷しました

何はともあれ、記事のリリースが遅れてしまったこと、お詫び申し上げます。


text・interview・photo 松江(ONLY FREE PAPER)


 

オープンKIITO ’18 レポート

今回こそは!と思いつつ気づけば遅レポに…
こんにちは、松江です。

ホットなうちに書き上げてしまいたかったオープンKIITO’18のレポートですが、なんだかんだで3週間が経過…
イベント帰りの新幹線で途中まで書き上げたその量まさかの二行…頭の中で保存されていた文量の何十分の一だよこりゃ…
絶望をガソリンにここからは一気に行きます。



3月24日、神戸市の施設【KIITO】にてフリーペーパーのイベントを行わせていただきました。
オープンKIITOという一年に一度のイベントに毎年呼んでいただいておりまして、今年で5年目の開催になりました。
毎回の出展にて、私松江がフリーペーパー専門店・店主として『今、読んで欲しい50誌』というテーマで集めさせていただいたフリーペーパー・フリーマガジンを配布・展示するという企画をやらせていただいております。
2015年、2016年、2017年、とプラスαのトークイベントや特別展をやらせていただきましたが、今回は上記企画展のみになりました。が、単体でも十分なコンテンツと(結果的に)過去最高の来場者数でした。

以下、2018年度のイベントにご協力いただいたフリーペーパー・フリーマガジンです。
大学喫煙所名鑑
ヘルスグラフィックマガジン
WE/
ORB
himagine
月刊妄想星占い
TOKYO VOICE
別府地獄極楽新聞
畑々
CEL
宣伝広告
わに
手紙暮らし
SとN
hinagata magazine
鶴と亀
ナイスガイ
縄文ZINE
職・漁師
RAINBOW MAGAZINE
他人
夕焼けアパート
GO Journal
RAW
ふくしままっぷ
原波布読物紙
灯台どうだい?
茨女
odai magazine
mammoth
十六夜風車
雲のうえ
田んぼと油田
peeps
季刊にゃー
サブカミチャー
鉄聞
座・高円寺
詩ぃちゃん
UNDIES ZINE
Tech Tech
南部再生
いこい(not free)
マヌペーパー
BACKPACKER
飛騨
BOOKMARK
しくみまんがシリーズ
長岡『日本酒』『錦鯉』
とんじこんじ
(順不同)

















5年もやらせていただいておりますと流石にお客さんの反応や会場の空気の変化など感じることがありまして、その辺りについて少し触れておこうかと思います。

一昨年に関しましては、現地でレポート動画のようなものを撮らせていただいた関係で、ある程度の数のお客さんに直接感想を伺う機会があったのですが、あまり積極的に話しかけるのも邪魔になってしまうかと思い今回は基本的に直接お話を伺うことはありませんでした。(その代わりに、全50誌の解説フリーペーパーを配布しました)
従って、お客さんの生の声を一つ一つ拾ったという訳ではないということはご承知いただきたいのですが、個々のお客さんが《フリーペーパーが何だか面白いようだ》ということを知った上で来てくださっているという印象を今回の出展では強く受けました。
1回目や2回目の開催では、何だかよくわからないけどフリーペーパーってこんなに色々あるんだね〜、へ〜すごいね〜という反応が大半だったような気がします。そして、オープンKIITOというイベントに於いてONLY FREE PAPERの出展は、《何となくたどり着いたイベント》という位置付けでした。それは決してネガティブなことではなく、偶然の出会いや発見を大事にして欲しいという意味で、呼んでいただいたKIITOさんにはとても感謝しています。もちろんそれは今回も変わりませんが。
それが、昨年辺りから明らかに目の色が変わったと言いますか、目当てにお越しいただいている方の比率がグンと上がりました。(これは受付で案内をされている方から伺った話なので印象ではなく実際の話です)



ここには色々考えることがあるなーと思っておりまして、
まずは、続けることの重要性。
どんなことでもただ続ければ良いというある種の楽観的見解を提言しているのではなくて、ある程度時間がかかることもあるという事。何事もスピードが求められるご時世においてそのタイム感とは別次元でのみ浸透し、理解を得られることがあるという事。特に新しいチャレンジや分野においては。ここでの話の要点とは若干ズレますが、各フリーペーパーを発信する事ももちろんそうです。今回出展していただいた『himagine』というフリーペーパーなどはまさにそれです。
当時の法政大学の仲間で始めたフリーペーパーは、すごくざっくりと説明しますと同人誌のようなもので、一部のフリーペーパー好き以外には中々刺さりにくいだろうなーという代物でした。また、(こう言っては失礼かもしれませんが)目立った創作をする方で多い《天才型》というタイプでもありませんでした。しかし、大学を卒業した時点で発行が終わるあるいは創作そのものを止めてしまう方が大半の中、その後も細々と発行を続け現在18号まで発行されています。そしてどういうわけか15号辺りから明らかに読み物としての質がグンと上がったのです。この辺りの原因はよく分かりませんが、いやが応にもあの有名な『ウサギとカメ』という話を思い出してしまいました。実際僕の周りやSNSでの反応を見ても(良くも悪くも)話題に上がる回数がめちゃくちゃ増えました。どこかの時点で諦める事も同じくらい大事なのかもしれませんが、《諦めたくない》と思っていたり、《自分の中でなんか違う》と思っていないうちは、個人的には何事も続けて欲しいと思います。
そして、フリーペーパーという言葉に喚起されるイメージの幅が格段に広がった事。
今やフリーペーパー=クーポン誌・求人誌ではなくなっている事。もっと詳細に言うとすれば、フリーペーパーが自由で面白かった時代の復権。ただ戻って来ただけではなく、現代に呼応する最新のヴァージョンアップも抜かりなく。そんな事が言えるのかもしれません。昨今、ラジオやTVといったメディアからも熱い視線を受けるフリーペーパーも少なくなく、『縄文ZINE』『鶴と亀』『灯台どうだい?』といった人気フリーペーパーは書籍化されるに至りました。地域を盛り上げる手段として力のこもったフリーペーパーを活用していく事例も多くなりました。今や一部のカルチャー好きの嗜好品や広告戦略のツールだけに留まらず、制作側も読者側も多岐に渡っています。
さらには、フリーペーパーというメディアが持っている不可測的なパワー。
「フリーペーパーの魅力とは何ですか?」フリーペーパー屋として何十回(もっとかも?)と聞かれてきた質問であり、僕が知る限りのことはその都度お伝えしてきましたが、結局《よくわからないけどワクワクするものがここにある》という事に尽きるんですよね。そういうものを探求し言語化していくのが僕のような人間の役目だという事もわかっていますし、それはトライし続けていく所存ですが、正直「何でも言葉で欲しがりすぎじゃね?」って思う部分も多々あるんですよね。インターネットが人と人との物理的距離を一気に縮め、あらゆるハードルを越えて交流できるような世界を構築しました。そしてその中で取り交わされる通貨が文字である以上、何でも言語化したがるのは理解できますが、ヒトとヒト・ヒトとモノ・ヒトとコトがフィジカルでぶつかり合って生まれるものってインターネットのどこを検索しても見つからないんですよね。もちろんこれは無料の本に限らず、有料の本にも言えることではありますが、この文脈で言えばフリーペーパーの方がより《インターネット的》ではあると思います。知らない事や価値観を知っていく過程を楽しむ余白は常に持っていたいし、そのストーリーが時には結果よりも大事になる事もあります。説明が出来ないけど好きっていう事は、説明出来ちゃう好きよりもずっとあなたの心に残っているって事心あたりありませんか?
『ナイスガイ』という、かもめブックス【神楽坂】の柳下さんをもってして「宇宙一いらないもの」と言わしめたフリーペーパーは、多くの人から愛されています。(もちろん柳下さんからも愛されています)
『ナイスガイ』のことは、説明するほど野暮ったくなってしまうので、是非とも総集版の『超ナイスガイ』をご購入ください。当店でも販売しておりますし、ここからでもご購入いただけます。
注)購入は自己責任になります。購入後のクレームは当店では受け兼ねますので、直接ナイスガイ編集部までお願いいたします。

販売も行われた書籍化したフリーペーパーたち


イベントのレポートとはあまり関係なくなってしまいそうなので、ここらでイベントの話に戻ります。

神戸でイベントをやるという事で、毎回関西方面のフリーペーパー発行者さんが来てくださるのですが、その事は僕がこのイベントをやる上で楽しみにしていることの一つでもあります。
今回選ばせていただいた中では、イベントの少し前にお問い合わせさせていただいて送っていただいた『詩ぃちゃん』の発行者さんが「たまたま近くに来ている」という事で遊びに来てくださったり、『WE/』のご担当者さんが挨拶にいらしてくださったり、という事がありました。大勢の前に出る事に対してはさほど緊張しない僕ですが、好きなフリーペーパーを作っている発行者さんと会うとめちゃくちゃ緊張してしまうので、今回もめちゃくちゃ緊張しましたし、そのせいで緊張させてしまったかもしれませんがお会いできて嬉しかったです。

『詩ぃちゃん』の著者、大阿久佳乃さん。彼女はまだ高校生。


『詩ぃちゃん』もそうでしたが、在庫があまりないというフリーペーパーも多々あり『わに』『BOOKMARK』『手紙暮らし』『十六夜風車』『南部再生』といった辺りの冊子は早い段階でサンプルのみとなりました。
ONLY FREE PAPERの通常営業の中でも問い合わせが多い『手紙暮らし』は神戸でも大人気で、「これを見に来た」という方もいらっしゃいました。(そんな大人気の『手紙暮らし』は以前当店でインタビューさせていただいたので気になった方はこちらをチェック!!)

配布分はなくなり、サンプルもお持ち帰りされるフリーペーパーたち


また、会場で書いていただいたアンケートでは『peeps』『他人』『月刊妄想星占い』『CEL』『大学喫煙所名鑑』『しくみまんがシリーズ』『TOKYO VOICE』『飛騨』『ヘルスグラフィックマガジン』などの名前が多くあがっていました。
そして、アンケートの中にはこんな感想もいただきました。
「他のお客さんと交流できる空間づくりになっていなかったのが残念でした」
ひぇ〜〜!そうか〜むしろお客さん同士も交流したいのか〜!!そうですよね、むちゃくちゃ参考になりました。次回以降絶対に反映させますし、今夏予定でオープンする新しい場(ちゃんと整ったら正式にリリースします)にも参考にさせていただきます!!!

そんなこんながあり、11時のオープンから18時まで会場から人がいなくなる事がないほど本当にたくさんの方にお越しいただきました。カバンや手持ちの限界値までフリーペーパーを詰め込み、抱きかかえているお客さんの姿が目立ち、終わってみれば多くの冊子が少量を残すのみになりました。まだ在庫のあるフリーペーパーに関しましては、引き続きKIITOのフリーペーパーライブラリにて配布しておりますので、お近くにいらっしゃった方は是非お立ち寄りいただければと思います。

来年以降もKIITOさんではこのイベントを続けて行きたいですし、全国的にもこういったイベントはやって行きたいのでどんどんお声かけください!
そして、「無料ならそれはお客さん来るよね?」とフリーペーパーに関して懐疑的な目を向けられている方がもしいたならば、フリーペーパーの魅力が《そこもあるけど、そこじゃない》という事がわかっていただけると同時にもれなく「フリーペーパー面白いなぁ」という禁断の扉が開かれますので、次回の開催では是非お足を運んでいただけますと嬉しいです。
よろしくお願いします!

最後になりましたが、今回ご協力いただきましたフリーペーパーの発行者の皆様、本当にありがとうございました!!!


2018-04-17 | Posted in 松江健介, PEOPLENo Comments » 

 

2017.03.04 ONLY FREE PAPER in KOBE レポート

当店ONLY FREE PAPER、3月4日に神戸に出張してきました。
毎年3月に開催されております『オープンKIITO』というイベントに出店するためで、今年で4年連続で呼んでいただいている大変お世話になっているイベントなのでした。


会場は今年もこちら!おなじみのKIITO 2Fライブラリスペースです。
ちなみにこちらライブラリスペースでは、常設スペースとして年中フリーペーパーが置いてあるので気になる方は是非行ってみてください!

イベント詳細はKIITOさんのページをご覧いただいた方が良い気がしますが、ざっくり申し上げますとKIITOを一日解放して、入居されている企業さんや周辺地域で面白い活動をされている方々やKIITOから発信する情報などを一堂に介し、楽しんでいただこうといういわば文化祭みたいなものです。
そんな中、東京から《フリーペーパー専門店》というなかなかに謎なお店を呼んでくださっているKIITOさんはやはり器が大きいのだと思いますが、さすがに一年目などは来ていただいているお客様も探り探りな感じが強く感じられました。




今年感じたことは、4年目の出展ということもあり、何か浸透してきた感がものすごく感じられました。
4年目とはいえ年1回の出展ですから本来浸透することなど無縁に思われがちですが、続けて何かをすると思わぬ現状が起こるものですね。
結果たくさんのお客様にお越しいただき、用意していたフリーペーパーも在庫がなくなってしまうものが続出し、サンプルとして一部保存しておいたものまでなくなってしまったものも多くありました。←これは管理側のミスですね・・・

毎年レギュラーで行わせていただいております企画は『今読んで欲しいフリーペーパー50誌』というものなのですが、過去3年に関して申し上げますと、正直すでにほとんど休刊してしまっている冊子および休刊している冊子もセレクトするというウルトラCも使っておりました。《読んで欲しい》はもちろん偽りのないものでしたがそれが先行してしまい《今》の部分を少しないがしろにしていました。(ごめんなさい。)
しかし、今回は正真正銘、現役の50誌を神戸に持っていくことができました!!
発行元の皆様に感謝感謝です!!!


なかなかお目にかかれないフリマガも最新号含む貴重なバックナンバーも…!!すぐになくなっていきました。。。


個人的大プッシュ、Hallelujah Traveler。前号から1年ぶりの復刊が待たれます!!


こちらも大好きゾーン。主に小田急線沿線駅や一部東武系の駅で配布されるComo le va?、徳島県のあおあお、額装フリーマガジンEncadreur。早々に配布終了…!!












【ONLY FREE PAPER in KOBE 2017 出展フリーペーパー】
ユーシュ
バッテラ
田んぼと油田
あおあお
honto!
イヤ、ホント気になります。
屋上とそら
BEYOND
paragy OPEN SQUARE PAPER
UNDIES ZINE
飛騨
ヘルスグラフィックマガジン
BLUE+GREEN JOURNAL
縄文ZINE
FREMAGA
SOLAR JOURNAL
AGRI JOURNAL
宗谷ひと図鑑
DEZZERT MAGAZINE
トコドコジルシ
三浦編集長
南部再生
BROTHER TIME
KEMO NOTE
KAMIBU
スーベニア
BLUE’S MAGAZINE
HIBI
Hallelujah Traveler
Como le va?
雲のうえ
ナイスガイ
kawagoe premium
RAW
Encadreur
TOKYO PAPER for Culture
GOTEKI
季刊猿人
ガジラ通信
岐阜マン
ミッドナイト
かくだのかお
scripta

あてら
月刊島民
別冊スペシャ
もとすみマニアックず。
ORB
いいね!農STYLE
(順不同)

発行のタイミングが合わない、在庫がない等、神戸に持って行きたくても持っていけなかったフリーペーパーもあるにはありましたが素晴らしいラインナップであったと思います。
(一部、イベントの後で休刊のお知らせをいただいた冊子も含まれております)

このイベント自体に過去何度かお越しいただいておりましたお客様から「今年ラインナップいつもより良くないですか?」なんてお声もいただきました!!
毎年、良いわ!笑 というツッコミもはいりましたが、前述の通り《現行のフリーペーパー》というものを強く意識してお声かけさせていただいた分知らない間に気合が入ったのかもしれません。

手前味噌ですが、あ〜やっぱりフリーペーパーって面白いな〜と再認識させられるイベントになりました。

イベントの後半では、さまざまな企業やお店・施設の広報誌などの制作に多方面で関わられているRe:Sの竹内さん、徳島県の広報誌あおあおの制作をされ、ショップ&ギャラリーuta no taneを運営されている森さんをお招きし、ローカルメディアやフリーペーパーについてトークセッションを開かせていただきました。


人!!


HI・TO!!


インタラクティブの欠片もない乱暴な告知を少ししただけにも関わらず、本当にありがたいです…涙
ちなみにこれ、視線の先には…


おおらかべ新聞!!(2013年より約1年半の間、吉本興業より発行されていた月刊のかべ新聞。Re:S制作。)


ローカルメディア、とりわけフリーペーパーつまり紙媒体について実際に制作に携わられている方々の言葉を色々伺うことができて、とても有意義な時間となりました。
フィジカルメディアを作ることの意義、制作にあたり大切にしていること、当然といえば当然ですがメディアの数だけ考え方があるし逆に共通する部分もある。
ここの場所にいた方の中からこの先フリーペーパーや何かメディアを立ち上げる方が現れるようなことがあれば嬉しいなあ。

あっという間の7時間でした。

来年も神戸に行けるといいなあ。


写真撮影:芦田博人、三好天都、堀江浩彰


松江健介松江健介 Kensuke Matsue
フリーペーパー専門店ONLY FREE PAPER店長、株式会社Beatface代表取締役。スタイリスト業を経て、石崎・芥川と共に2010年12月ONLY FREE PAPERを東京・渋谷に開業。移転、休業を経て現在は小金井市にて展開。全国各所の店舗や図書館、ゲストハウス等でのフリーペーパースペースのディレクションも行っている。好き—アダムジョーンズ・トマスピンチョン・メサブギー・ピザ・東京03・能・タンパベイレイズ・武田鉄平。嫌い—職質。






2017-03-24 | Posted in 松江健介, PEOPLE1 Comment » 

 

渋谷PARCOとONLY FREE PAPER

皆さんすでに様々なメディアを通じてご承知であると思いますが、渋谷PARCOが8月7日をもって一旦その役割を終えます。
2011年9月より入居させていただいておりました当店ONLY FREE PAPERの渋谷PARCOでの展開もそこで終了となります。

フロアを変え、形を変え、慌ただしくそして問題児であった僕らを渋谷PARCOは大きな器で受け止め続けてくれました。
4年間もの長きにわたり。

PARCOさんも仕事、我々ONLY FREE PAPERも仕事。である限りはそこに感情的なことを持ち出すことはあまりスマートなことではなく、ある種の掟破りかもしれません。経営者としてはどうかと自分でもそう思います。
しかし、今は最後の時です。お別れの時なんです。
なので、この時だけは「想い」的要素を吐露し一方的な側面から述べることをお許しいただきたいです。

前例のない形、フリーペーパー専門店としてオープンした当店は大変多くの方に支えられその大きなスタートを切ることができました。
しかしそこから「続けていくこと」はとてもハードなことであり、壁という壁が立ちはだかる毎日でした。
もはや消耗しきった僕らに手を差し伸べてくれたのが、渋谷PARCOでした。
PARCOさんは僕らに同情したわけでも何でもなく、やっていることの面白さをかってくれた上で、ONLY FREE PAPERを招き入れてくれました。親族でも何でもないので特に同情するポイントは皆無ですので当然といえば当然ですが。
でもそのことが結果的には僕がPARCOさんをいつまでも信頼できる要因になったのは言うまでもありません。

入居のしょっぱなから規格外のズタボロさをお披露目し、大変不安にもさせてしまいましたが、それでもPARCOさんが僕らに対し見捨てるような目をすることは結局最後までありませんでした。それはもはや親心のそれであったように、今となっては思います。

その後も度重なるご迷惑(ちょっと書けません)をかけ続ける僕らを、叱咤激励してくれました。
組織である以上、異動などは当然あり、担当の方が変わっていく中でも一貫してそれは変わりませんでした。
誰がどうこうとかそういうレベルでの話ではなく、それはもう「渋谷PARCO」という愛が包んでくれていたんだということでしょうか。

ひとつのビルとひとつのテナント。
この話は、そのお話です。
しかし、僕にはそれを超えた人と人の関係性でしか語ることができません。と言いますのは、僕と渋谷PARCOの担当の方々、そういう意味での人間性の話ではなくもっと概念的なことです。
その理由は、もちろん商売としてはとても成功しているとは言い難いというものが要因になっていることは自覚しています。だから、その土俵でしか語ることができないのだと。
それでも僕は、頑なに、言い続けると思います。ONLY FREE PAPERと渋谷PARCOは血の通った関係性だったのだと。
あるいは、すべての入居している(してきた)テナントに対して一貫してそのような関係性を築いていらっしゃったのかもしれません。
だから渋谷のど真ん中に存在し続け、上質なカルチャーを発信し続けられてきたのかと思うと納得がいきます。

「渋谷怖いけど、ONLY FREE PAPERがパルコにあるから来る(来れる)ようになった 」というようなお客様のお話を聞くこともありました。
僕が一利用者であった頃から高尚な存在であり続けた「あの」渋谷PARCOと共に、そんなお客様を排出できたとしならばそれはもう声にならない思いです。嬉しい感情の引き出しが少ないので、ご了承ください。

そんな渋谷PARCOもあと1日で閉館となります。一旦僕らの夢のような時間は終わります。
3年後、さらに強靭な体躯で僕らの前に姿を現してくれることでしょう。なんたってあの渋谷PARCOなんですから。

渋谷PARCOとONLY FREE PAPERを引き合わせてくれた方、渋谷PARCOの皆さん、御近所付き合いしてくれたテナントさんたち、ONLY FREE PAPERパルコ店を楽しんでいただいたお客様、イベントにご協力いただいた方々、とんでもないパワープレーでPARCO入居に踏み切った前代表。皆様、本当にありがとうございました。僕の中でこの4年間は決して褪せることはないでしょう。
いつの日が夢の続きを見られるように僕らも精進致します。



なお、ONLY FREE PAPERはPARCOさんでの営業は7日をもって終了致しますが、近日中に渋谷にて再開を予定しております。
ヒガコプレイス店の方は通常どおり営業いたしておりますが、8月15-19日までは夏季休業になりますのでよろしくお願い致します。



松江健介松江健介 Kensuke Matsue
ONLY FREE PAPERオーナー。株式会社Beatface代表取締役。#メタル#大好き#です#和製ブライアン・ジョンソン#メタルじゃないじゃん#恵比寿★マスカッツ#最近のマイブームです#カメレオンマン#オリーブオイルの消費量多め#「雪国」より「古都」派#「ネコ」より「カメ」派#「2」より「3」派#今は#坊主#じゃないよ#オール#オア#ナッシング#アホでしょ#バカでしょ#ドラえもんでしょ





2016-08-06 | Posted in 松江健介, PEOPLENo Comments » 

 

フリーペーパーminiフェス in KOBE レポート

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先月の28日に神戸にありますKIITO(http://kiito.jp/)で行われた「オープンKIITO」というイベントにてフリーペーパーのミニフェスを行って参りました。

フリーペーパー専門店でありますONLY FREE PAPERが是非とも読んで欲しいと思うフリーペーパーを約50誌を東京よりお持ちしました。

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昨年もこの「オープンKIITO」には参加させていただいたのですが、会場でありましたKIITOは元々輸出生糸の品質検査を行う検査所として使用されていた施設であり、荘厳さと日常性を持ち併せた雰囲気が自分の中の大切にしまってある思い出を呼びおこしその記憶の中でそれぞれの人がそれぞれの視点で体感できる、そんな不思議な場所であります。

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ここからは少し手前味噌なお話になってしまいますがこの会場はフリーペーパー(といいますが紙)ととても相性が良いです。そして今回選ばせていただいたフリーペーパーはどれも素晴らしく一誌一誌ココロオドルような冊子です。それが一同に会しているわけですから夢のような空間と言っても夢という言葉対して失礼はないでしょう。

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先日惜しまれつつも休刊となってしまった「辞書のほん」もバックナンバー(ほぼ)揃い踏み!

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ここ数年はフリーペーパーの発行はお休み中の「しごととわたし」も特別にご参加いただきました!

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準備段階の写真が多くお客様が楽しんでいる様子を撮り忘れるという昨年同様のミスを犯してしまうわけですが、昨年以上のお客様にお越しいただけました。
袋を用意しなかったことをとても反省するほどに皆さん両腕に抱えきれない量のフリーペーパーをお持ち帰りいただいておりました。
開始30分も経たないところで配布終了してしまうフリーペーパーも何誌かありました、、、!!

「フリーペーパーのところどこですか?」とピンポイントでお越しいただいた方も結構多くいらっしゃったようです。終了後に受付の方に伺いました。

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13~18時の開催でしたが終わることにはほぼ在庫がなくなってしまいました。

talkabout fp

イベント終盤には「フリーペーパー攻略ガイド」と称しましてフリーペーパーをより楽しんでいただくためのトークセッションをやらせていただきました。急遽決まった企画にも関わらず最後まで聞いてくださった方々に感謝です。

素晴らしいフリーペーパーに囲まれ、素晴らしい場所に立たせてもらい、とても幸せな時間となりました。
お越しいただいたお客様もそう思っていただけたらよかったと思います。いや、そう思ってくれたはず、、!
顔を見れば何となくわかりますからねそういうのは。

顔をみれるというのは「本屋」を営む上でやはり重要なポイントであると僕は思いますし、大切にしたいところであります。
これからは色々な場所で、色々な方が、ONLY FREE PAPERを媒介し、広がっていく。
そんなことを実現していけたらと思っております。




オープンKIITO2015 設置フリーペーパー
・tentonto
・鶴と亀
・scripta
・BLUE’S MAGAZINE
・GOTASSYA
・GP
・キデンセン
・しごととわたし
・C
・ミチカケ
・BEEK
・辞書のほん
・季刊猿人
・ののわ
・京都ワッチャー瓦版
・とりあえず、シモキタで降りなよ。
・GAP CITY GUIDE
・SKETCH
・ZW
・灯台どうだい?
・ナイスガイ
・松井どんぶり
・つくる?
・月刊ゾンビ道場
・KAMAKURA
・花座論
・引力レコーズ
・飛騨
・ヘルスグラフィックマガジン
・SOYA PARTY
・路地と道くさ
・.dock
・EPHEMERA
・JAPAN PHOTO AWARD 2014
・パラ人
・旅とアイスクリーム
・イモマンガ
・Arinco books
・190-
・Social Tower Paper
・ラボラトリー
・好物
・太宰府自慢
・井
・ネコメンタリー
・岐阜マン
・ふかよみ新聞
・屋上とそら
(順不同)


松江健介松江健介 Kensuke Matsue
フリーペーパー専門店ONLY FREE PAPER店長、株式会社Beatface代表取締役。スタイリスト業を経て2010年12月にONLY FREE PAPERを東京・渋谷に開業。移転、休業を経て現在は渋谷と小金井市にて展開。ドフトエフスキーや安部公房好きの根暗でメタル好き。メタルバンドではボーカルを務めている。また、コラムやエッセイ等をフリーペーパーへ寄稿することもある。





2015-04-09 | Posted in 松江健介, PEOPLE2 Comments » 

 

フリーペーパーレビュー #1「他人」 

日々続々と発行されているフリーペーパーの中から毎回1誌をピックアップし、紹介していくコラム「フリーペーパーレビュー」を開始したいと思います。
唐突にすいません。

私、松江の視点からああでもないこうでもないを繰り広げ、最終的に点数をつけるというコーナーです。

いきなり自分で自分の話の腰を折るようですが、普段から僕はこのようなことをよく言います。

「フリーペーパーって点数付けたり順位つけたりするものなの?」

これには色々な意見があると思いますし僕の中でも何人もの松江が言い合いをすることになるでしょう。
前のエントリーでもちょっと触れたのですが、これについては機会があればちゃんと触れようと思いますし、リクエストとかあればすぐやろうと思います。では、今回は何故「点数をつける」と言い切ってしまうのか。
それは、分かりやすいからです。読んでいただいた方により楽しんでいただけると思うからです。
少しでも多くの方にフリーペーパーに興味を持っていただき、業界を盛り上げて行ければと思いやらせてもらっていることです。

前置きが少し長くなってしまいましたが、さっそくやっていきたいと思います。

第一回目はこちら、

photo 1

「他人 #1」です。

昨年10月に名古屋で創刊されたこちらのフリーペーパー、シンプルなタイトルと「小便禁止」の看板が見据える先に腰を下ろす女性の存在感が圧倒的な表紙。
冊子のコンセプトはこうであります。

「玄関のドアを開けて一歩外に踏み出せば、名前も年齢も知らない人達とすれ違う。
でもその人は他人だから声なんかかけない、そしてかけられる事も滅多にない。
これはきっと、そこに”人が居る”という感覚ではなく、
自分から見て街と人が”ひとつの風景”になってしまっているからなんじゃないか。
でも、そんな風景に溶け込んだ人達にも、当たり前だけど、それぞれの歩んできた道があり人生があり、そして今がある。
“いつも素通りして、見逃していた風景の中に入り込む”ような。
そんな体験をしたら、いったいどんな心の変化を味わうことができるだろうか、いったいその体験は自分に何を届けてくれるだろうか。
テレビのヒューマンドキュメンタリーを見て感動すること、共感すること、勇気を貰うことは、誰しも経験があるかもしれない。
では、名もなきいつもすれ違っていただけの風景みたいな人、そんな人の人生を覗く事が出来たら、同じ様な感情が生まれるのでしょうか?
あるいは、有名な名前と才能があるからこそ、わたしたちは影響を受けたり勇気を貰ったりするのでしょうか?
その答えが、この「他人」の中にはあるような気がします。」

-他人ホームページ(http://tanin-paper.com/)より

90年代までは、どの世界にもカリスマと言われる人材が存在しその影響力は圧倒的でした。
しかし、00年を超えると次第にそういう存在が薄れ、半ばにもなるとソーシャルネットワークが台頭して生活にも大きな影響を与えていきました。この辺りは今更言及することでもありませんが、そのような社会の変化は当然の如く影響を受ける対象をも変えていきました。今多くの人は手の届かない誰かよりもちょっと手を伸ばせば届く存在や信頼をおける友人、自分と同じような境遇にいる見知らぬ人、そういった存在に影響を受けたり共感したりしているのではないでしょうか?しかしそれはあくまでもインターネットを介していることがほとんどであると思います。それで本当に真理や本質を知ることができるのでしょうか?確かにそんなとこまで迫らなくてもいいわってことはあるでしょう。しかし、多くの人が面と向かってコミュニケーションをとることの大きさをその経験から知っているはずです。

だからやっちゃいましたよこの人達。
全く知らない人に突撃取材、しかもかなり深いことまで聞き出しております。
第一号の編集を見る限りでは、インタビュアーの質問に対しおばあちゃん(表紙の方です)がマシンガントークを繰り広げるというどこの地域でも見かける光景になっているのですが、その辺りのさじ加減は次号以降も読んでみないとわかりませんね。もう少し掛け合いも読みたい気もします。

まあ、それは置いといて、とにかくコンセプトがシンプルでいて大胆。それでいて誰もが気になるインパクト。
素晴らしいと思います。

そして、このおばあちゃんですよ。強烈なキャラクターが誌面を読んでるだけでしっかり伝わってきます。スタンダールもびっくりな恋愛哲学を披露したかと思えば、ムルソー顔負けの異邦人っぷり。よくもまあ一回目からこんな強烈な人ひっぱってきたわと感心していまいますが、そこですぐに気づいたわけです。

「この人が特別なのではなくて人は誰しもドラマがあるんだ!」

まさにこの冊子のコンセプトですよ。やられましたね。
でもこれってやっぱりしっかり向き合って話すことによって出てくるものなんだと思う訳です。その場に流れる空気・景色・気温、しゃべる口調・相手を覗き込む目・変化する鼓動。そういうもの全ての結果でありそれを見事に400mm×270mm二つ折の誌面に凝縮させることに成功していると思います。

知らないけど身近な境遇の誰かにシンパシーを感じるということは、ソーシャルネットワークの功績によって気軽に手に入れられるものになったことの一つだと感じます。
僕は東京生まれで他の地域に長い間住んだことがないので地方の方々の繋がり方や、30年ほどしか生きていないのでそれ以前の人々の繋がり方は分かりかねますが、飲み物を飲むためにコップをとるように・小腹がすいたのでコンビニによるように・他人の個人的なインフォメーションに触れる機会が与えられることはまずなかったのではないかと思います。

そういったネット上の関わり方を通過してこの「他人」という冊子は生まれたのだと個人的には感じます。それもよりによってこんなアナログな形で。これはもうハイブリッドと呼んでもおかしくはないと僕は思います。
未来のハイブリッドは意外にもそんなシンプルなものなのかもしれません。

いずれにしろ今後が楽しみなフリーペーパーであります。

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4.6/5.0 点


松江健介松江健介 Kensuke Matsue
ONLY FREE PAPERオーナー。株式会社Beatfce代表取締役。フリーペーパーおよびリアルフリーの業態の可能性について日々頭を悩ます。



2014-01-08 | Posted in 松江健介, PEOPLE, レビューNo Comments » 

 

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