OFP STAFF, インタビュー

インタビュー #4  「 BEYOND」(後編)



昨年4月に創刊されたLGBTが主題のフリーマガジン『BEYOND』の編集長であり、特定非営利活動法人東京レインボープライドの共同代表理事でもある山縣真矢(やまがたしんや)さんのインタビュー、後編です!開催目前のビッグイベント「東京レインボープライド2017」についてもお聞きしています。



野村:すごく内容が特化しているからというのもあると思うんですけど、LGBTのことを扱っているとなると、やっぱり誰かにインタビューした際に、誌面に名前を表記をするときに、例えば「バイセクシュアル」とか「ゲイ」ということを一緒に表記する場合が多いですが、それは、BEYONDではどういう意図で表記をしていますか?

山縣:BEYONDだと巻頭のところだと思うんですけど、取材をさせていただいたこの方たちが自分のセクシュアリティをどのような言葉で表現するのかって言うのは、そこにその人なりの思いとかアイデンティティとかがあったりする部分なので、同じことを書いてあってもその表記があるかないかで見え方が変わってくるんですよね。女性に見える人でも、その人が表明しているのがレズビアンなのかトランスジェンダーなのか他の何かなのかによって、やっぱり受け取られ方も発信の仕方も違ってくると思うんです。そういう意味もあって載せるようにはしていて、基本的には本人から言われたものをそのまま載せています。同じように年齢も、言いたくないという場合は載せていないですけど、読み手側の一つの情報として、時代背景や考え方の目安にもなるので、入れています。

野村:自分はこういう人だよという、自分のアイデンティティの所在を明らかにしておいて、その人の記事があって、というほうがより記事の理解度も深まる…ということですね。

山縣:はい。そうですし、そこをオープンにしていくというか、可視化していくというところは、重要なところだと思うんです。私はレズビアンです、私はゲイです、私はトランスジェンダーです、ということをちゃんと表明する人が増えて、それが受け入れられる世の中になればいい。BEYONDに出てくる人はそういうことを表明して活動している人が多いんです。基本的にこの巻頭部分は、LGBTブームというキラキラしたところだけでなく、色んなところで色んな活動をしている人たちに光を当てよう、みたいなコンセプトがあるので、そういう人たちをこちらもセレクションして、取材をお願いして…という感じなんです。

野村:なるほど。本当の意味での輝きとか美しさというところですね。ちょっと媒体の話とは逸れますが、こういうインタビューとかではなく、例えばLGBTのコミュニティって一言で言ってもやっぱりその中にいろんなアイデンティティの人がいると思うんですけど、そのコミュニティで集まったときに、この人はこういうアイデンティティの人で、みたいなことを前提として相手の話を聞いたりコミュニケーションが始まる、というわけではないですよね。

山縣:そうですね。個人的に僕はゲイバーに行ったりとか二丁目に行ったりとか、付き合いのある人ってやっぱりゲイの人が多いんですけど、パレードのスタッフとなると本当にいろんなセクシュアリティの人がいて、コアに関わっている執行部や運営の人はだいたいその人のセクシュアリティとかも含めて知ってはいるけど、ボランティアスタッフの方とかは本当にもうたくさんいて、年代もセクシュアリティもいろんな人がいるので。お互いに聞く事もあるだろうし聞かないこともあるだろうし、その辺はいろいろで、それも含めてコミュニケーションしてもらえればいいのかな、とは思うんですけどね。
ちょうどこの前、ボランティアスタッフの全体ミーティングをやったんですけど、高校生も多くて、30~40人高校生がいたりするんですけど、まあいきなり初対面で「あなたのセクシュアリティは?」というのはあれかもしれないけど、こう話をしていく中で「どうしてTRPのボランティアやろうと思ったの?」ってお互いに話が始まったりしたら、その中でそういう話もできてきたりするとは思うけど。

野村:高校生たちはどこでTRPのことを知ったり興味を持ったりして参加しているんですか?

山縣:学校単位で参加していたりとか、先生の繋がりとかですかね。

野村:ということは、LGBTというテーマに対して積極的というか、学ばせたいという姿勢の学校が多くなってきているということですか?

山縣:そういう学校も出てきた、ということですね。ちゃんと学校の承認も得てきているし、本当にたまにですが単独で来る、という高校生もいます。高校生以下の方は基本的には保護者の同意がないとTRPのボランティアにはなれないので、一応そういうものをきちっとクリアした人が参加してくれています。

野村:なるほど。高校生、まあ若いなーと思うけど、若すぎるってことも全然ないですよね。

山縣:はい。全くないと思います。



野村:BEYONDは現在どういうところに置いてますか?

山縣:新宿二丁目のakta(アクタ)というコミュニティセンターやいくつかのお店で置いていますね。スポンサーでもある「丸井」の渋谷店や新宿店など主要店舗にも置いてもらっています。丸井さんはすごく協力してくださっていて、パレードの当日はパレードコースである渋谷MODIの大型ビジョンをレインボーにしてくれたりもして。あとはぜひ5月6日、7日のTRPの会場に足を運んでもらえれば。当日、フェスタの会場やレインボーウィーク期間中の色んなイベント会場でもBEYOND最新号を置いていますし、6日、7日の会場にはバックナンバーも持っていきます。華やかで楽しくて、元気をもらえるような空間だし、「いやほんと色んな人がいるよね」というのが分かるイベントなので、そういうものを感じてもらえたら良いかなと思っています。もちろんしっかり頭で考えたり社会運動的な部分も重要なんですけど、まずは会場に来て楽しんでもらったり感じて考えてもらえればと。

野村:はい。期間中、山縣さんは毎日どちらかにいらっしゃるんですよね?

山縣:そうですね。フェスタ&パレード以外でも、東京レインボープライドの主催でいくつかイベントがあって、例えば、僕が企画してるのが5月4日の「性をめぐるアーカイブの世界~過去を未来へ伝える~」というトークショーで、これはけっこうマニアックなんですけど…。最近LGBTに関するものに限らずですが、デジタル化も含めアーカイブというのは言われるようになっていて、例えばアメリカだと、LGBTコミュニティセンターという立派なものがあって、その中にライブラリがあったりして、昔の資料やアーカイブがちゃんと保存されていたりするんですよね。今回登壇される方はみなさん、そういう「性をめぐる」色んな資料などを個人的に収集していらっしゃるのですが、では、LGBTコミュニティ全体として、これまでいろんな人がコレクションしてきたものとか、これからまた生み出されていくであろういろんな資料だったり紙媒体などを、どうやって歴史のひとつとして残していくか、ということを考えてみましょう、という趣旨です。

野村:おもしろそうです!



野村:LGBTの活動を続けて、いろいろ難しいところもあるとは思いますが、最終的にはどうなっていけば良いと思いますか?山縣さん個人としてのゴールみたいなものはありますか?

山縣:ああー。よくこういう質問を受けたときに「パレードが無くなることがゴールです」みたいな言い方をする人もいるんですけど、僕はあんまりそうは思っていなくて、ゴールは無いと思っているんです。SOGI(性的指向/性自認)や婚姻の平等といったことって、それこそ政権が変われば、制度が変わったりとかもあるわけですよね。時々の社会情勢とかでも変わったりします。
オランダは2001年に初めて同性婚という制度ができた国で、同性婚もそうだしそれ以外の人権のことについてもすごく進んでいる国で、いじめにしろ何にしろマイノリティ性を抱えてる人に対するフォローアップもしっかりしているんですけど、そういう国でもセクシュアルマイノリティの小学生や中学生がいじめられたりするんですよ。そういうドキュメンタリー映像を観たことがあって。日本からみるとかなり制度的にも進んでいるような国であってもです。性的なことというのは子どもとか思春期では特に、いじめとかに繋がりやすい。だから、オランダではそういうことが起こったときにちゃんと対応できる大人がいたり、どこに相談に行けばいいっていうような、機関や仕組みがあるんです。
まあ要は、性のことってマイノリティ以外でも悩むじゃないですか。「性」ってやっぱり生きることの根源にも繋がってくるので、例えばそういう色んな隔たりや差別のようなものがなくなっていっても、年に一回のこのパレードは、どんなセクシュアリティであれ、ストレートであろうがゲイであろうがレズビアンであろうが、色んな人が自分の生きることや性のことについて、こう、みんなでお祝いするような場として、ずっとあり続けていっていいんじゃないかなと僕は思っているんです。その中でセクシュアリティによる差別とか、そういうものがどんどんなくなっていったらいいですよね。
で、LGBTの運動的に言うと…。やっぱり具体的に法律ができたりとかですかね。ゲイブームと言われた90年代前半のころは、もっとふわっとしていた部分もあったと思うんですけど、今は条例や法律、差別解消法とか同性婚とか、具体的なものが課題として上がってきています。それは少し歴史が前に進んだってことなんじゃないかなと思っています。けれども、そこを越えていくのはまた大変で…。今の日本の社会状況とか政治状況だと結構難しいところもあるとは思うんですけど、そういう具体的な課題に向かって行く運動のひとつとして、東京レインボープライドも貢献できればいいなと考えています。とはいえ、LGBTブームと言われている昨今でも、まだまだLGBTに関して、きちんと知られていなかったり、そもそも知らない、という人も本当にまだたくさんいるのも現実だったりもするわけです。
そもそも「SOGI(性的指向/性自認)」というのは、あらゆる人に関わる属性です。なので、SOGIに関してマジョリティな人たちにも、自身の「生」にとって重要な「性」について考えるキーワードとしてSOGIを捉えてもらい、そこを出発点に、SOGIに関してマイノリティ性を抱える人たちに想いを馳せてほしいかな、と思っています。多様な「性」に寛容な社会は、豊かなんじゃないでしょうか、カルチャーとかの面にとっても。

野村:それこそが、ちゃんとした大人が増えていくってことですよね。

山縣:そうですよね。ぜひ5月6,7日TRP会場に来ていただければと思います。


聞けば聞くほど他人事ではないセクシュアルマイノリティのこと。お互いの性や生を尊重し合うというのは自分の性(=生)を大事にすることから始まるのだなあ。子どもが安心して育っていける環境というのは、ちゃんとした大人がいる社会なのだとつくづく思ったのでした。これほんと、誰も無関係でない大事な話。今年のGWはお互いの性を祝福しに渋谷へ行こう…!

『東京レインボープライド2017』、レインボーウィークは4/29~5/7に開催。都内を中心にあちこちの会場でイベントが開催されます。メインイベントでもあるパレード&フェスタは5/6,5/7に代々木公園です。今年のSpecial Liveは中島美嘉さん…!
TRPのサイトで詳細を確認してぜひ会場を訪れてみてください。

<パレード&フェスタ>
開催日
フェスタ:2017年5月6日(土)、7日(日)10時~18時
パレード:2017年5月7日(日)※正確な時間は後ほどお知らせします。
会場
東京都代々木公園イベント広場&野外ステージ
 ⇒ 各コンテンツの詳細情報はこちら

<レインボーウィーク>
開催日
2017年4月29日(土・祝)~ 5月7日(日)
会場
東京都内を中心に全国各所
 ⇒ 各イベントの詳細情報はこちら



text・interview 野村(ONLY FREE PAPER)
photo 野村・松江(ONLY FREE PAPER)


2017-04-27 | Posted in OFP STAFF, インタビューNo Comments » 
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